中国の巨大ECサイトであるアリババの使い方や、どのようにすれば安全に購入できるかを解説します。ネットショップで売れるものを探している人は参考にしてください。
アリババ(Alibaba)とは?
アリババ(Alibaba:alibaba.com)とは、中国のBtoB ECサイトです。アリババグループが展開するECモールのひとつで、他のマーケットプレイスと区別するためにalibaba.comと表記されることもあります。
macrotrends(英語のみ)によると、2023年度の年次決算では1,290億ドルの収益が報告されており、アリババは世界有数のAmazonと並ぶとされています。アリババのプラットフォームには現在、20万を超えるサプライヤーが登録されており、ドロップシッピングに対応するサプライヤーを見つけたり、ホワイトレーベルのように自社ブランドのロゴを入れるなどカスタマイズ可能な商品を見つけたりすることもできます。
アリババの安全性
アリババは、取引の安全性を担保するための取り組みがされているので、商品が届かない、返金されない、というような購入者に損害となるような大きな危険性はありません。取り組みには以下のようなものがあります。
認証サプライヤー
アリババではサプライヤーの認証制度があり、認証されたサプライヤーのストアあるいは製品ページに認証マークが表示されます。これはサプライヤーが、ビジネスライセンス・工場の所在地・生産能力・品質管理手順について第三者による審査を受け、アリババによって承認されたことを意味します。サプライヤーの能力に関する情報をバイヤーに提供することで、購入の際に、バイヤーがより適切な決定を下すことができることを目的としています。
購入者保護サービス「Trade Assurance」
アリババは、サイト内での取引について「Trade Assurance」という無料の購入者保護サービスを提供しています。「Trade Assurance」は、サプライヤーとバイヤーがサイトで出会ってから取引が完了するまでのリスクを様々な仕組みにより最小化するサービスで、4つの保証内容で構成されています。
- 安全な支払い:Trade Assuranceの対象となる支払い方法で行われた支払いはすべて暗号化され、2時間以内に迅速に処理されます。
- 返金ポリシー:商品が発送されない、行方不明になった、欠陥や間違いがあった場合などに払い戻しを受けることができます。また、返金に関するトラブルに対して、アリババが払い戻しに向けて仲裁に入ります。
- 配送保証:配送に遅延が発生した場合は、サプライヤーに交渉することなく補償が請求できます。
- アフターサービス保証:購入後1年間、メンテナンスや修理、無償の交換部品サービスが受けられます。サービスの内容が合意された条件と異なる場合は、補償を請求できます。
上記のような取り組みのほかに、実際にアリババを利用したバイヤーによるユーザーレビューを見ると、サプライヤーのほとんどは評判がよく、アリババが信頼できるものであることがうかがえます。ニューヨーク証券取引所に上場しており、1999年設立と四半世紀にわたりビジネスを行っていることもアリババの信頼性を裏付けています。しかしながら、中には悪質なサプライヤーが存在することも事実です。越境ECであること、また個々のサプライヤーとの直接取引になることから、取引前にそれぞれのサプライヤーをバイヤー自らが精査することが大切です。
アリババで安全に購入する方法
Trade Assuranceに対応している商品を選ぶ
支払いや返品、アフターサービスなどを保証するTrade Assuranceに対応している商品の中から購入するのが最も安全な方法です。商品検索時にフィルターでTrade Assurance対象商品をしぼり込むか、商品ページで対象となっているかを確認しましょう。
サプライヤーの情報を確認する
サプライヤーが認証サプライヤーであるかどうか、信頼できる出品者であるかどうかを確認します。認証サプライヤーには認証ロゴがついています。
また、商品ページ下にある会社概要のプロフィールからサプライヤーの経歴を確認できるので、下記のような項目を確認してみましょう。
- 工場検査報告書
- パノラマ写真またはVRショールーム
- 取引能力(サービス対象市場、年間輸出総額)
- 適合証明書(製品試験報告書、特許、商標)
- 研究開発情報(生産ライン数、OEM/ODMカスタマイズサービス)
また、商品ページには平均対応時間が記載されており、サプライヤーの問い合わせから返信までの早さを確認することもできます。返信率70%以上、平均対応時間24時間以内のサプライヤーが望ましいでしょう。
初回はテスト仕入れとしてサンプル購入する
届いてみたら低品質な商品だった、思っていた商品とイメージが違う、などのトラブルを避けるため、まずはサンプルとして少なめに仕入れて確認することをおすすめします。
アリババは卸売りサイトなので大量仕入れが基本ですが、サンプル注文や小ロットでの注文に対応しているサプライヤーも多いです。
レビューを確認する
購入したい商品のレビューを確認しましょう。製品の注文数やレビュー、他のバイヤーからの評価などをチェックすることで、過去の取引でトラブルを起こしていないか、製品品質は安定しているかなどを判断することができます。
コピー品の可能性があるものは避ける
ブランド品、キャラクター商品はコピーや偽物である危険性が高いので、避けた方が無難です。
アリババの使い方
1. 商品やサプライヤーを見つける
商品やサプライヤーを検索します。アリババは画像検索や商品カテゴリーからの検索にも対応しており、検索結果は製品、メーカー、またはサプライヤー別にフィルタリングすることができます。また、サイドバーのフィルターツールで配送場所や規格など更なる詳細設定を行うことができます。
次のような様々な要素でフィルタリングできます。
- 認証サプライヤー
- 製造認証
- 対応までの速さ
- レビュー
- リードタイム
- 運営国
- 以前に輸出した国
- 原材料
- 最小注文数量
2. 商品の詳細と注文数を確認する
商品が見つかったら、最小注文数が自分が希望する注文数を上回っていないか、出荷までの日数(リードタイム)に問題はないかなど、商品の詳細や注文数を確認します。また、価格は注文するロット数によって変わるため、実際の価格は問い合わせる必要があります。
下の画像では最小注文数は50で、注文ロット数が大きくなるほど単価が安くなっています。このように注文数が大きければ商品ごとのコストが下がることもあり、価格設定にも影響するのでしっかりと確認しましょう。
尚、商品によっては輸入に関する税金や手続きが必要な場合もあるため、日本の法律なども調べておくことを忘れないでください。
3. サプライヤーと交渉する
サプライヤーと直接交渉できるのがアリババの特徴のひとつです。自分のビジネスに合った取引内容になるように、サプライヤーと契約内容を交渉しましょう。
商品ページにある問い合わせのリンクから、商品の価格や最小ロット数、納期、カスタマイズ内容、配送料などについて交渉ができます。
見積もりだけ取りたい場合は、見積依頼フォーム(RFQ)から希望の数量を入力すればワンクリックで相見積もりを取ることができます。また、発注要件やカスタマイズ製品の仕様の希望を記載した文書をアップロードすることもできます。
希望の取引内容や条件を詳しく提示することで、サプライヤーからの返信の質もよくなるため、問い合わせや見積もりの際に下記のような詳細情報を含めるようにしましょう。
- 製品仕様
- 希望販売価格
- 注文数量の目安
- 納品までの希望日数
4. 支払いをする
契約内容が決まったら、サプライヤーへの支払い方法を選択します。アリババには複数の支払い方法がありますが、リスクレベルの違いやバイヤーとサプライヤーそれぞれにとってのメリットやデメリットがあるため、よく理解したうえで選択しましょう。
クレジットカード・電信送金(リスクレベル:低)
これらの支払いはTrade Assuranceの保証対象となるため、アリババを初めて使う人が安心して利用できる支払い方法です。
しかし、カード決済は大量購入する場合には手数料の負担が大きくなるため注意してください。
PayPal(リスクレベル:低)
PayPalもTrade Assuranceの対象となり、バイヤーにとっては使いやすい支払い方法のひとつです。しかし、出金の煩雑さや手数料などから、サプライヤーからはあまり好まれていないので、支払い方法の交渉時には注意しましょう。
信用状(リスクレベル:中)
信用状(L/C:Letter of Credit)は、貿易取引において輸入側が銀行に依頼し発行してもらう書類で、商品が間違いなく届くことと支払いが間違いなく行われることが確約されるため、輸入者と輸出者の双方にとって安全な支払い方法です。しかし、銀行に発行してもらうための手続きや手数料が必要となるため、高額取引での利用が一般的です。
銀行振込(リスクレベル:高)
Trade Assuranceの対象とならない銀行振り込みは、納品前に全額支払うことを求められる可能性があります。これはバイヤーにとって危険性が高いため、信頼関係のあるサプライヤーと取引する場合以外にはおすすめできません。
アリババをドロップシッピングに使う方法
多くのサプライヤーやメーカーが登録しているアリババは、ドロップシッピングポータルを使って4ステップで簡単にドロップシッピングに使うことができます。
1. Alibaba.comのドロップシッピングポータルにアクセスする
ドロップシッピング専用のアリババドロップシッピングポータルにアクセスします。消費者からの個別の注文に対応できるサプライヤーを見つけることができるため、最小注文数量を満たす必要がなくなります。
2. オンラインストアを接続する
オンラインストアにShopifyを使用している場合、この接続プロセスは至って簡単で、Shopify Alibabaアプリをインストールするか、アリババドロップシッピングポータルの[マイストア]タブから簡単に接続できます。
3. 製品やサプライヤーを検索する
検索バーを使用して、自分のビジネスに合ったドロップシッピング製品やサプライヤーを見つけてください。ここでも、フィルターを使用して検索結果をしぼり込むことができます。Googleトレンドなどの無料ツールを利用して、収益性が高く需要がある商品をリサーチするのもおすすめです。利益が確保できるかの試算も忘れずに行いましょう。
4. インポートリストに製品を追加する
ドロップシッピングする製品を見つけたら、商品ページにある追加ボタンをクリックしてインポートリストに追加します。
商品を追加すると、[インポートリスト]タブからタイトル、説明、画像、価格を編集することができ、編集した内容が自分のオンラインストアに取り込まれ、消費者に表示されます。
自分のオンラインストアに入った注文はアリババドロップシッピングポータルの[注文]タブに表示されるようになります。[注文]タブからは、次のことがでます。
- 顧客の注文の確認と支払い
- 注文をキャンセルする
- 配送状況を追跡する
- 配達の確認
- 返金をリクエストする
まとめ
アリババは、中国で生まれた巨大なオンライン卸売りサイトです。膨大な数のサプライヤーからパートナーを選べ、直接交渉できるので、大量発注によるコスト削減や製品のカスタマイズによる自社ブランディングなどを可能にしてくれます。
サプライヤーの選定など注意したい点はありますが、ポイントを押さえれば安全に購入することができるので、商品仕入れ先として検討してみるのもよいでしょう。
よくある質問
アリババは安全?
アリババはサプライヤー認証制度や購入者保護サービスの「Trade Assurance」を設けているため安全に利用できます。サプライヤーや商品選択でそういった制度の対象になっているか確認するなど注意する点はありますが、安全に取引をすることが可能です。
アリババとは?
アリババとは、アリババグループが展開するBtoBのECモールです。一般的にはアリババと呼ばれますが、グループの他のマーケットプレイスと区別するためにalibaba.comと表記されることがあります。
AlibabaとAliexpressの違いは?
AlibabaとAliexpressの違いは、ターゲット顧客です。アリババ(alibaba.com)は主な対象がビジネスオーナーであるBtoBのECサイトなのに対し、AliExpressは主に個人消費者をターゲットにしたBtoCのECサイトです。