ドロップシッピングとは、ネットショップに注文が入ったとき、メーカーや卸業者などから、商品を顧客に直接送ってもらうという仕組みです。出品者は、在庫を持たずに商品を販売できるため、初期費用やリスクをおさえてネットショップを運営することができます。
そんなドロップシッピングを利用したビジネスを、Amazonでも始めることができます。この記事では、Amazonドロップシッピングについて、概要や料金、始め方などをまとめました。
Amazonドロップシッピングとは
Amazonドロップシッピングとは、在庫を持たずにAmazonで商品が販売できるビジネスモデルのことです。
販売事業者は、Amazonに出品用アカウントをつくり、商品を出品すれば、仕入れを行わずに販売を開始することができます。顧客から商品の注文が入ったら、販売事業者はドロップシッパー(メーカー、卸業者、ドロップシップ業者などのサプライヤー)へ注文を転送し、ドロップシッパーから顧客に商品を直接届けてもらいます。
Amazonドロップシッピングポリシー
Amazonでドロップシッピングを利用するには、出品者が次のAmazonドロップシッピングポリシーを満たす必要があります。
- 商品の記録上の販売者であること。
- 商品に同梱または付随する納品書、請求書、外装などのすべての情報に、自身を商品の販売者として明記すること。
- 納品書や請求書などに記載された自身以外の販売者の情報を削除してから、注文商品を出荷すること。
- 購入者からの商品の返品受付・実施の責任を負うこと。
- Amazonの定める出品者規約およびポリシーのすべての条項を遵守すること。
禁止事項もあります。
まず、別のオンライン小売業者をドロップシッパーにすることはできません。たとえば、あるオンラインストアの商品情報をAmazonに転載し、Amazonから注文が入ったらそのオンラインストアに商品を注文して顧客の住所へ送ってもらう、というのは違反にあたります。
また、荷物の外箱や、納品書、請求書などに、出品者以外の名前やロゴ、連絡先情報を記載するのも禁止されています。荷物にドロップシッパーの名前が記載されないように手配しましょう。
ポリシーが遵守されない場合、出品権限が一時停止または取り消されることがあります。
Amazonドロップシッピングの料金
Amazonドロップシッピングの料金には、次の3種類があります。
- 出品料:毎月49点未満の場合は、1商品100円の小口出品プラン、毎月49点以上の場合は、月額4900円の大口出品プランがあります。
- 商品のカテゴリーごとの販売手数料:商品が売れるたびに、出品者はAmazonに対して合計売上の一定の割合、または最低販売手数料のどちらか金額の大きい方を支払います。合計売上には、商品価格、配送料、ギフトラッピング料金なども含まれます。
- ドロップシッピングの手数料:契約するドロップシッパーに応じて、手数料や配送料などが発生します。
Amazonドロップシッピングは儲かるか
Amazonドロップシッピングは、直接販売と比較すると利益率が低いですが、商品の選択によっては儲かります。
Amazonドロップシッピングで探すべきは、需要が高く競合の少ない製品です。Amazonドロップシッピングはその参入障壁の低さから、同じ商品を売る販売事業者との激しい競争に発展することがほとんどです。低い利益率で儲けるには、数を売ることが必要なので、まず需要が高い商品を探しましょう。
さらによいのは、価格競争に発展しないような、競合の少ない製品です。ドロップシッピングでは仕入れや配送も委託するため、それらの価格を下げるには限界があります。価格を競合に左右されずにすむ商品なら、ドロップシッピングに最適です。
ストア全体で商品のセレクトにこだわったり、特典などのサービスを強化したりと、ストアに価格以外の付加価値をつける工夫も有効です。
Amazonドロップシッピングを始める方法4ステップ
- 商品を選ぶ
- ドロップシッパーを探す
- Amazonの出品者アカウントを登録する
- 出品する
1.商品を選ぶ
出品する商品を選びます。
利益を求めるには、潜在的な需要はあってもまだ世間に見つかっていない商品や、すでに売れている高額な製品の代替品、ニッチな分野でヒットしそうな商品などを探しましょう。
需要を把握するには、まずトレンドのリサーチが必要です。リサーチには、GoogleトレンドやAmazonのベストセラーリスト、SNSなどのチェックをおすすめします。
また、商品がどんなキーワードで検索されるかということも想定しておきましょう。Amazonの検索バーにキーワードをいれたとき、ほかの候補がたくさん表示される商品は、競争が激しいということです。顧客がキーワードを入力したとき、検索結果の上の方に表示されるような商品を選びましょう。
2.ドロップシッパーを探す
ドロップシッパーを探し、契約を結びます。
メーカーや卸売業者と直接契約を結ばない場合、ドロップシッピング業者(DSP)を利用するのもよいかもしれません。このとき、商品に同梱または付随する納品書、請求書、外装などのすべての情報に、出品者を販売者として明記せねばならないという点に注意しましょう。顧客が商品を受け取ったとき、梱包用の段ボールなどに、出品者以外の業者のロゴや名前が残っているだけでも、Amazonドロップシッピングポリシー違反になってしまいます。
Amazonのドロップシッピングポリシーに準拠しているドロップシッパーを探しましょう。
3.Amazonの出品者用アカウントを登録する
Amazonに出品するためのアカウントを登録します。
Amazonの出品者用ページで「さっそく始める」ボタンをクリックし、メールアドレスとパスワードを設定したら、そのまま販売事業者の情報、クレジットカード情報、ストア情報などを入力して登録を進めてください。
登録の最終段階では、次の2種類の書類のアップロードが求められます。
- 本人確認書類:法人であれば登記簿謄本、個人事業主であれば、運転免許証かパスポートを用意してください。
- 取引明細書:過去180日以内に発行された取引明細書が必要です。クレジットカードの利用明細書、インターネットバンキング取引明細、預金通帳の写しのいずれかを用意してください。
あらかじめ有効な書類を準備しておきましょう。
4.出品する
Amazonに商品を出品します。
商品を目立たせるためには、写真を複数のせるといった工夫も大切です。また、商品価格や配送時間、商品情報は、わかりやすく記載しましょう。
商品が売れたら、ドロップシッパーに注文内容を転送すると、ドロップシッパーが梱包や配送を代行してくれます。
在庫を持たなくても、あくまで販売者は出品者です。商品サンプルを取り寄せるなどして品質を把握し、出荷、配送、商品の品質などに関する顧客からの質問や懸念に答えられる準備をしておきましょう。また、ドロップシッパーとコミュニケーションをとって在庫状況などを把握し、責任をもって販売を行いましょう。
Amazon FBAとAmazonドロップシッピングの違い
Amazon FBA(フルフィルメント by Amazon)とAmazonドロップシッピングの違いは、商品の管理と配送を委託する先の違いです。
在庫管理と配送を代行するという点ではどちらも同じですが、Amazon FBAにおいては、Amazonが商品管理と発送を代行します。Amazon FBAを使用している出品者から顧客が商品を購入すると、商品は、Amazonの物流拠点であるフルフィルメントセンターに納品され、Amazonが出品者の代わりに梱包と発送を行います。
一方、Amazonドロップシッピングでは、サードパーティーのドロップシッパーが商品管理と発送を請け負います。
Amazonに委託するかドロップシッパーに委託するかで、在庫状況の把握、配送スピード、カスタマーサービス対応、そして費用面に大きく差がでます。
Amazon FBAでは、対象商品の在庫をリアルタイムで把握することができます。「セラーセントラル」というAmazonのサポートページから、出品や納品プランの作成、納品、物流拠点からの返送や廃棄依頼などを行い、在庫レベルを最適化できます。配送はAmazonの配送ネットワークで、24時間365日即日対応が可能です。また、返品やカスタマーサービスもAmazonが一手に引き受けます。ただし料金には、フルフィルメントセンターでの在庫保管料や配送代行手数料など、販売する商品や数に応じてその他の費用が加算されます。
一方、Amazonドロップシッピングでは、在庫状況の把握はドロップシッパーとの連携に左右されます。契約したドロップシッパーのシステムを理解し、しっかりとコミュニケーションをとっておくことが求められます。配送までの期間も、契約内容や、ドロップシッパーとの連携によって変わります。返品やカスタマーサービスも出品者が対応しなければなりません。
ドロップシッピングのやり方に慣れていない場合、Amazon FBAはいい代替案になるでしょう。
まとめ
在庫を持たずにオンラインストアを始められるドロップシッピングは、Amazonでも利用することができます。もとより競合の多いドロップシップビジネスですが、世界中から大量の商品が集まるAmazonで儲けるには、出品者の商品を選ぶ目がさらに試されることになるでしょう。需要が高く競合の少ない商品を見つけることができたら、ドロップシッパーを探してAmazonドロップシッピングに挑戦してみませんか。
Amazonドロップシッピングについてのよくある質問
日本でもAmazonドロップシッピングを利用できる?
Amazonの利用要件と、Amazonドロップシッピングポリシーに準拠していれば日本でも利用できます。
Amazonドロップシッピングとアフィリエイトの違いは?
Amazonドロップシッピングとアフィリエイトの違いは、商品を販売するか紹介するかの違いです。Amazonでドロップシッピングを利用する場合、ユーザーはセレクトした商品の販売事業者となり、自分で価格を決めて販売します。一方、アフィリエイトの場合、ユーザーはすでに販売されている商品を自分のサイトやブログ、SNSなどで宣伝し、自分の紹介を経由した注文があれば、紹介料をもらいます。受注以降の業務は請け負いません。AmazonにもAmazonアソシエイトプログラムというアフィリエイトの仕組みがあります。販売ではなく紹介であるため、アフィリエイトの利益はドロップシッピングより低いです。
Amazonで無在庫販売は禁止されていない?
Amazonでは、商品在庫がないまま販売する無在庫販売は原則禁止されています。ですが利用要件やポリシーに準拠しているかぎり、Amazonドロップシッピング、Amazon FBAは利用することができます。
Amazon FBAとAmazonドロップシッピングの違いは?
Amazon FBAとAmazonドロップシッピングの違いは、商品の管理、梱包、配送の委託先の違いです。Amazon FBAではAmazonに委託しますが、Amazonドロップシッピングでは、メーカーや卸業者などのドロップシッパーに委託します。
文:Taeko Adachi