ウェブサイトや企業サイトを運営する上で、レンタルサーバーはドメインと並んで欠かせない存在です。しかしながら、実際にレンタルサーバーの登録やウェブサイトの運営にかかわったことがないと、レンタルサーバーの役割や手続き、選び方など難しいと感じる人の方が多いことと思います。そこで、各社レンタルサーバーの料金を比較するとともに、レンタルサーバーの選び方のポイントについて解説します。
レンタルサーバーとは?
レンタルサーバーとは、ウェブサイトなどを表示するのに必要なデータ類を格納するためにサーバーを貸すサービスのことです。サーバー自体は自作することも可能ですが、専門知識と技術、費用がかかるために、ウェブサイト運営などではレンタルサーバーの利用が一般的です。
サーバーとは?
サーバーとは、リクエストに応じて情報やデータ等を提供するコンピューターです。パソコンやスマートフォンから気になる情報を検索し該当ページをクリックした時、サーバーに「コンテンツが見たい」というリクエスト(要求)が送られます。そのリクエストに応答して保管されているコンテンツを提供するのがサーバーです。
サーバーは自分のパソコンで構築することも可能ですが、一般的なパソコンは24時間稼働させ続けることや、一度に大量のアクセスがあることを想定していません。容量の大きなハードディスク、接続環境などが必要になります。他にもメンテナンスやサーバー構築に専門的な知識や技術が必要となり、必要機材も高価です。そのため、一般的には専門知識が必要ないレンタルサーバーが利用されています。
レンタルサーバーの用途
- ウェブサイト公開
レンタルサーバーへ情報を保管し、公開することでウェブサイトやブログを公開することができます。レンタルサーバー利用の最も多い理由の一つと言えるでしょう。ネットショップをオープンする際にも使用されます。
- メールアドレス利用
サイト名や会社名などが入ったメールアドレスが利用できます。誰でも無料で作成ができるフリーアドレスに比べて、サイト名や会社名が入ったメールアドレスはユーザーが安心できるというメリットがあります。
- CMS(コンテンツマネジメントシステム)のインストール
Webサイトの専門知識がなくても更新や新規ページ制作ができる、CMSというツールをインストールすることができます。ブログや記事サイトなどの構築に使われるWordPressもCMSの一種です。
レンタルサーバー費用の相場
レンタルサーバーは、選ぶ種類や使用するサーバーの容量、契約する場所、契約する期間などによって、金額が大きく変わります。
格安サーバーは月額99円から利用が可能ですが、平均的なサーバーの利用料金は月額で1000円程度が多いです。専用サーバーや高速度・大容量のサーバーなどは月額1万円以上のものもあります。
また、レンタルサーバーを契約する場合、月額料金だけではなく、初期費用がかかる場合があります。レンタルサーバーを選ぶときには初期費用がいくらかかるかも忘れず確認すると良いでしょう。
レンタルサーバーの種類
レンタルサーバーは大きく4つに分類されます。
共用サーバー
共有サーバーは最も一般的なレンタルサーバーで、複数のユーザーでシェアをして使用するサーバーです。既にある程度設定されているケースが多く、同じサーバーの中にアクセス数の多いサイトがある場合などは、動作が重くなる等の影響を受けることがあります。
専用サーバー
専用サーバーはサーバーを他のユーザーと共有せず、独占できるサービスです。共用サーバーに比べて自由度が高く、セキュリティ面でも他の利用者の影響を受けないため安心です。ただし、利用料金は共用サーバーよりも高額です。
仮想サーバー
仮想サーバーはVPSサーバーとも呼ばれ、サーバーを仮想化して使用します。共用サーバー同様に、1つのサーバーに対して複数の利用者がいますが、ユーザーごとにゲストOSという仮想マシン上にインストールされたOSが準備されているため、仮想サーバーの数は1ユーザー1台となります。そのため他の利用者の影響を受けることなく利用することが可能です。
クラウドサーバー
クラウドサーバーとは、近年注目を浴びているサーバーで、仮想サーバー同様、サーバーを仮想的化して複数のユーザーが利用します。オンライン上のサーバーを指しますが、容量やスペックなどを柔軟に変更できるものもあります。ユーザー1人に対して1台のサーバーを割り当てる仮想サーバーとは異なり、用途に応じて複数台のサーバーをカスタマイズできます。使用できるメモリ容量やディスク容量などの増減を柔軟に設定できるのが強みです。
サーバーの種類別の料金比較
レンタルサーバーで提供される、4種類のサーバーの平均的な月額料金と有名なサーバー会社の月額料金を比較してみていきます。
共用サーバーの料金
共用サーバーの料金の相場は月額換算で1,000円程度です。
- ロリポップ:99円〜
- さくらインターネット:121円〜
- エックスサーバー:990円〜
専用サーバーの料金
専用サーバーの料金の相場は月額換算で20,000円程度です。
- KAGOYA: 9,130円〜
- エックスサーバー:19,800円〜
- さくらインターネット:35,200円〜
仮想サーバーの料金
仮想サーバーの料金の相場は月額換算で500円程度です。
- KAGOYA:550円〜
- さくらインターネット:590円〜
- エックスサーバー:830円〜
クラウドサーバーの料金
クラウドサーバーの料金の相場は月額換算で5,000円程度です。
- さくらインターネット:1,540円〜
- KAGOYA:4,400円〜
料金はレンタルサーバーを選ぶ上での指標の一つですが、それ以外にも重視すべきポイントがいくつかあります。
レンタルサーバーを選ぶコツ5つ
1. サポート体制は充実しているか
レンタルサーバー利用時、重要なのがサポート体制です。ウェブサイトを運営する上でサーバー関連のトラブルは致命的です。閲覧ができなくなったり動作が重くなったりすると、ユーザーが離脱する原因となります。また場合によってはウェブサイトが表示されないまま対処ができず、何日も経過してしまう場合もあります。トラブルはいつ起こるかわからないため、何かあった時のサポート体制がしっかりしているレンタルサーバーを選ぶと良いでしょう。
2. 運営する予定のウェブサイトの規模に合っているか
ページ数やアクセス数の少ないブログの場合はレンタルサーバーの容量はそれほど必要ありません。反対に、多くの商品を扱うECサイトやページ訪問者の多い企業サイトなどは、十分なスペックがないとサイト表示に不具合が生じる可能性があります。サーバー上にアップするサイトの規模に合ったスペックを選ぶよう心がけましょう。
3. 機能性を重視する
レンタルサーバーによっては、WordPress(ワードプレス)などのホームページ作成ツールを簡単にインストールできる機能がついていたり、データの暗号化対応を行うSSLが無料だったり、ドメイン名を無料にするなどのサービスがある場合もあります。特に、誤操作などでウェブサイトの情報を失ってしまわないよう、バックアップ機能がついているかどうかは確認をしておくことが重要です。
4. 実績があるか
利用者の多いサーバーは信頼性が高い可能性があります。利用者が多い分、サーバーの設定などの説明をしているブログなども豊富にあるケースが多く、自身でトラブルシューティングを行う時に役立つこともあります。
5. コストパフォーマンス
ウェブサイトを運営する上で、レンタルサーバーの費用は見逃せない点の一つです。初期費用はかからないけれど月額利用料が高い、初期費用がかかるが月額利用料が安いため年間で費用を比較すると安い、というケースもあります。長期的に運営する予定のある場合にはしっかりコストパフォーマンスを比較しておくのがベターです。
レンタルサーバーの特徴やサービス内容は多岐に渡るため、自身の運営するウェブサイトに合ったサービスを選ぶことは簡単ではありません。しかし、上記5つのポイントを意識し比較することで、利用するレンタルサーバーを決める手助けとなります。また、レンタルサーバーだけではなく、ドメインも準備をしないとウェブサイトの運営を開始できません。そのため、ドメイン取得の料金を調べたり、ドメインを購入したりという作業も忘れずに行ってください。
まとめ
レンタルサーバーの利用が初めてではなくとも、レンタルサーバー選びに頭を悩ませる人は少なくありません。レンタルサーバーを提供している会社にはそれぞれ特徴があるため、料金だけではなく提供しているサービスやサポート体制なども選ぶ際の基準の一つとなります。無料のお試し期間を設けているレンタルサーバーも数多くあるので、実際に使ってみてから継続して利用するレンタルサーバーを選ぶことをおすすめします。
レンタルサーバー費用の相場についてよくある質問
レンタルサーバーとは?
ウェブサイトやECサイトなどを表示するのに必要なデータ類を格納するためにサーバーを貸すサービスです。
レンタルサーバー費用の相場は?
平均的なレンタルサーバーの費用は1000円程度です。格安サーバーだと100円程度~、専用サーバーや容量の多いサーバーでは10000円程度が多いです。
レンタルサーバーを選ぶ時のポイントは?
サポート体制、最適な容量、機能性、サーバー会社の実績そしてコストパフォーマンスを比較し、ウェブサイトに合ったレンタルサーバーを選ぶと良いでしょう。
文:Taeko Adachi