「書籍を出版したいけど費用が高い‥‥」「在庫をたくさん抱えるのが怖い」などの理由で、書籍の出版を諦めている方も多いでしょう。
しかし、プリントオンデマンドを利用したプリントオンデマンド出版なら、高額な費用と在庫がネックになる自費出版のハードルを下げられます。副業や在宅の仕事の一つとしてもおすすめです。
今回の記事では、プリントオンデマンド出版の概要や選び方、デメリット、プリントオンデマンド出版社の∞booksとMyISBN、パブファンセルフ、金風舎の4社の比較などを紹介します。コストやリスクを抑えて書籍を出版したい方や趣味を仕事にしたい方は、ぜひ参考にしてください。
プリントオンデマンド(POD)出版とは?
プリントオンデマンド出版とは、オンデマンド印刷を利用して、書籍を出版することです。
従来の自費出版では、100部や300部などまとまった印刷が必要で、高額な費用と在庫が必要でした。しかし、オンデマンド出版では、注文された部数のみ印刷するため在庫を抱える必要がなくコストを抑えられます。
また、プリントオンデマンド出版は、プリントオンデマンド出版社を利用するか、Kindleダイレクト・パブリッシングで登録から販売設定まで全て自分でおこないAmazonで販売する方法があります。
プリントオンデマンド出版では、SNSマーケティングなどをおこなって継続的に新しい読者へ販売促進できれば、不労所得を得ることも可能です。また、在庫を抱えるリスクがなく低予算で始めやすい事業なので、ネットで稼ぐ方法を探している方にもおすすめです。
プリントオンデマンド(POD)出版社の選び方
- 印税の設定方法
- 販売先
- 制作形式
プリントオンデマンド出版社を選ぶ際の主なポイントは3つあります。
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印税の設定方法
印税の設定方法は、「販売価格と印税率が決まっている場合」と、「販売価格を自分で設定できる場合」の2つがあります。本の販売価格を自分で設定するのに難しさを感じる方は事前に決められている出版社、手取りの利益を多くしたい方は、自分で販売価格を設定できる出版社が良いでしょう。
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販売先
販売先はAmazonが多く、その次に楽天ブックスやネット書店が多くなっています。18歳〜34歳までの年代はAmazon、35歳以上では楽天ブックスの利用率が高くなるので、ターゲット層に合った場所で販売できるプリントオンデマンド出版社を選ぶのがおすすめです。
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制作形式
制作形式は「PDF」または「直接入力」が多い傾向にあります。Wordなどで執筆することに慣れている方はPDF入稿、ブログのように執筆したい方は直接入力できる出版社のほうが挑戦しやすいでしょう。また、出版するまでの間、アドバイスやサポートを受けながら制作できる出版社もあります。
その他にも以下のポイントを比較すると、各出版社の違いがよりわかりやすくなります。
- 出版登録料金
- 印刷費用
- 販売価格
- 売上金の受け取り方法
- ISBN(国際標準図書番号)の有無
- 書籍のサイズ
- 出版可能ページ数
- サンプル本の有無
- 有料サービスの種類(カラー印刷、表紙作成、校正など)
次の章では、これらの選ぶポイントをもとにプリントオンデマンド出版社を比較していきます。
プリントオンデマンド(POD)出版社:4社比較
- ∞books(むげんブックス)
- MyISBN(マイアイエスビーエヌ)
- パブファンセルフ
- 金風舎
1. ∞books(むげんブックス)
- 印税:販売額の10%
- 販売先:Amazon・楽天ブックス・全国の書店
- 制作方法:直接入力
- 出版登録料金:【1冊目】無料、【2冊目以降】最初に出版した書籍の売り上げが10冊未満の場合は7,150円(税込)
- 印刷費用:販売価格の一部が印刷費用にあてられる
- 販売価格:【モノクロの場合】50ページ:880円、150ページ:1,600円、250ページ:2,500円、以後1ページごとに10円
- 売上金の受け取り方法:銀行振込
- ISBN:あり(無料)
- 書籍のサイズ:128mm×182mm(B6)
- 出版可能ページ数:50ページ以上
- サンプル本:なし
- 有料サービスの種類:表紙(デザイナーに頼む場合)
∞ブックスは、無料でプリントオンデマンド書籍を出版できる会社です。1冊目の出版は完全無料でオンデマンド出版に挑戦できます。2冊目以降は最初に出版した書籍の売り上げが10冊未満の場合だけ料金が発生します。
制作形式は、∞books指定のページ内に直接書き込む方法です。ブログのように執筆するだけで書籍の作成が可能になります。∞booksは電子書籍の出版は非対応ですが、同じ会社のデザインエッグ株式会社が運営しているPuboo(パブー)では電子書籍の販売が可能です。∞booksと同じように直接入力するだけで電子書籍を作成できます。
オンデマンド出版で苦労する本の表紙も、∞booksならデザイナーから提案してもらえる有料サービスがあります。また、∞booksで出版された本は、Amazon・楽天ブックスまたは全国の書店で販売できます。オンデマンド出版はオンラインで販売されるのが一般的なので、書店での販売を視野に入れたい方におすすめです。書店販売の場合、受注後の納品になるため、従来の大量生産方式とは異なり負担になりにくくなっています。
∞booksはISBN(国際標準図書番号)が無料で付与されます。ISBNとは、書籍を世界共通で特定するための番号で、書店での受発注や在庫管理などに利用されるほか、Amazonストアでのサンプル試し読み機能で必要になります。書店で本の内容を確認できない読者にとって、試し読みは購入するか決めるのに大切な手段の一つになるため、オンデマンド出版の場合はISBNの有無が売り上げにも影響します。
2. MyISBN(マイアイエスビーエヌ)
- 印税:販売額の10%
- 販売先:Amazon・楽天ブックス・全国の書店
- 制作方法:PDF
- 出版登録料金:5,478円(税込)
- 印刷費用:なし
- 販売価格:【モノクロの場合】50ページ:880円、150ページ:1,600円、250ページ:2,500円、以後1ページごとに10円
- 売上金の受け取り方法:銀行振込
- ISBN:あり(無料)
- 書籍のサイズ:
- 105mm × 175mm
- 128mm × 182mm(B6)
- 148mm × 210mm(A5)
- 182mm × 234mm
- 182mm × 257mm(B5)
- 210mm × 297mm(A4)
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出版可能ページ数:24ページ以上
【モノクロ印刷】B5サイズ以下:799ページまで、A4サイズ:359ページまで
【カラー印刷】B5サイズ以下:500ページまで、A4サイズ:作成不可 - サンプル本:なし
- 有料サービスの種類:表紙(デザイナーに頼む場合)、カラー写真、出版後の修正
MyISBNは、∞booksと同じデザインエッグ株式会社が運営しているプリントオンデマンド出版サービスです。∞booksとサービス内容も似ていていますが、大きく異なる点が4つあります。
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出版登録料金
MyISBN:5,478円(税込)
∞books:無料 -
制作方法
MyISBN:PDF入稿のみ
∞books:直接入力 -
書籍のサイズ
MyISBN:6サイズ
∞books:1サイズ -
文字の装飾
MyISBN:可能(Word機能にあるものだけ)
∞books:不可能
このように、MyISBNは初期費用がかかりますが、Wordでの執筆に抵抗がなく、本のサイズを多くの中から選びたい方におすすめのサービスです。Amazon、楽天ブックス、全国の書店から販売できます。また、MyISBNから電子書籍の販売はできません。
3. パブファンセルフ
- 印税:販売価格から印刷費と販売手数料(販売価格の40%+税)を差し引いた額
- 販売先:Amazon、楽天ブックス、三省堂書店、honto.jp
- 制作方法:PDF
- 出版登録料金:無料
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印刷費用:【A5・四六・B6・新書】モノクロページ数×2.75円+カラーページ数×7.59円+基本料226.6円
【A4・A4スクエア・レター・B5】モノクロページ数×3.3円+カラーページ数×7.59円+基本料226.6円 - 販売価格:印刷費と販売手数料を差し引いてマイナスにならなければ自由に設定可能
- 売上金の受け取り方法:銀行振込
- ISBN:あり(5,500円(税込))
- 書籍のサイズ:
- 103mm×182mm
- 128mm×182mm(B6)
- 127mm×188mm
- 148mm×210mm(A5)
- 210mm×210mm
- 182mm×257mm(B5)
- 216mm×279mm
- 210mm×297mm(A4)
- 出版可能ページ数:24〜828ページまで
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サンプル本:あり
【モノクロ】891円(税込)〜
【カラー】1,573円(税込)〜 - 有料サービスの種類:表紙データセルフ作成、電子書籍かんたん変換
パブファンセルフ(旧:Next Publishing Authors Press(ネクパブ・オーサーズプレス))は、書籍と電子書籍の両方に対応しているプリントオンデマンド出版です。原稿をワンクリックで電子版の原稿ファイルに変換できるサービスも試験公開中です。
書籍の価格は、印刷費と販売手数料を差し引いてマイナスにならなければ自由に設定できます。30冊以上からソフトカバー付きの製本もできます。
MyISBNのように修正費用は有料のプリントオンデマンド出版もありますが、パブファンセルフは無料で書籍の内容修正が可能です。また、イベントや献本用に本を安く購入できるサービスも用意されています。
4. 金風舎
- 印税:販売額の10%
- 販売先:Amazon、楽天ブックス、三省堂書店
- 制作方法:記載なし
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出版登録料金:
【原稿がすでに完成している場合】30万円〜
【企画から相談したい場合】問い合わせ - 印刷費用:記載なし
- 販売価格:500円〜4,500円まで(Amazonの規約)
- 売上金の受け取り方法:記載なし
- ISBN:記載なし
- 書籍のサイズ:記載なし
- 出版可能ページ数:記載なし
- サンプル本:記載なし
- 有料サービスの種類:図版作成
金風舎は、プリントオンデマンド出版でも担当者が付き、発売時にXやnoteでのプロモーション活動や表紙・紙面の制作などをおこなっています。電子書籍の同時出版も可能です。
価格は∞booksやパブファンセルフなどのように安くはありませんが、上記のようなサポートが手厚く受けられるため、書籍の出版が初めての方でも安心して始められるところが金風舎の魅力です。
プリントオンデマンド(POD)出版のデメリット
表紙はソフトカバーのみ
プリントオンデマンドで出版する場合、表紙はソフトカバーしか選べません。また、表紙帯もつけられないため、一般的な書籍と比較すると安っぽさが出てしまう可能性があります。そのため、ハードカバーで書籍を出版したい方にはオンデマンド出版は不向きでしょう。
カラー印刷は割高
コストを抑えられる点が魅力的なプリントオンデマンド出版ですが、カラー印刷を希望する場合は割高になる傾向にあります。例えばパブファンセルフの場合、カラー印刷だと1ページあたり5円高くなります。200ページの書籍の場合は、モノクロとカラー印刷で1000円の差があります。
書店販売は難しい
プリントオンデマンド出版の場合、販売先はオンラインのみの場合がほとんどです。書店販売ができるプリントオンデマンド出版の場合でも、書店側から注文があった場合のみの対応となり、書店に常時本を置いてもらえる可能性は低いです。書店販売にも力を入れたい場合は、出版社から書籍を販売してもらう方法や自費出版する方法など、プリントオンデマンド出版以外の方法が良いでしょう。
まとめ
プリントオンデマンド出版は初期費用と在庫を抱えるリスクを抑えられる出版サービスです。制作コストが安く済むため、気軽に書籍の出版に挑戦できます。しかし、ハードカバーで表紙帯がついているような本格的な製本や書店販売はオンデマンド出版では難しいというデメリットもあります。
また、出版社やサービスによって販売先や入稿方法、ISBNの有無などに違いがあるため、それぞれの特徴を照らし合わせて、プリントオンデマンド出版社を選びましょう。
よくある質問
POD出版とは?
POD(Print On Demand)出版とは、オンデマンド出版とも呼ばれ、注文に応じて1部から必要な部数のみ印刷・製本できる出版サービスです。
プリントオンデマンド(POD)出版の費用の目安は?
0円から出版でき、サポートが手厚い出版社だと30万円程度かかります。