昨今では、ECサイトの普及に伴い、配送ポリシーを作成するショップが増えています。法的な義務はありませんが、トラブル防止のためにも作成することをおすすめします。この記事では、配送ポリシーがどういったものか、テンプレートや書き方、設置場所も含めて詳しく解説しています。
配送ポリシーとは
配送ポリシーとは、ショップが商品の購入を検討している人に向けて、送料や発送方法などの条件などについて説明したものです。具体的には、次のような内容が含まれます。
- 配送料金
- 配送日数
- 国内外の配送オプション
配送ポリシーの作成は、法律によって義務付けられているものではありませんが、配送料や手続きに関する明記がないと、解釈の違いによるトラブルが起きる可能性もあります。そのため、ECサイトを運営する場合は、配送ポリシーを作成しましょう。
以前は、特定商取引法に基づく表示のなかで、配送に関する事項を定めているケースが大半でした。しかし、ECサイトが普及し、海外のECプラットフォームで配送ポリシーの作成が促されるようになったことから、昨今では国内でも配送ポリシーを明記しているショップが増えています。
配送ポリシーの書き方
配送ポリシーに絶対に記載しなければいけない項目はありませんが、配送に関するトラブルを防ぐために、購入検討者が必要としている情報を漏れなく記載しておきましょう。
送料
送料を記載する際には、以下のいずれか料金設定であるかを明確にする必要があります。
- 商品代金とは別に配送料がかかる
- 商品代金に配送料が含まれている
- 一律の配送料
扱っている商品の種類が少ない場合は、サイズや重さを統一しやすいので、配送料を一律にできるかもしれません。商品の数が多い場合は、各商品ページに配送料を記載したり、別途配送料金表を作成したりする必要があるでしょう。
また、一定金額以上で送料を無料にする場合は、顧客にわかりやすいように条件を明記しておきましょう。カスタマーリテンションにつながり、新たな購買につなげられる可能性があります。ウェブサイトの目立つ場所や商品ページなどに、「〇〇円以上のご注文で送料無料」といった案内を記載するのもおすすめです。
商品を発送するまでの日数
注文から発送までに何日程度かかるかについても明記することをおすすめします。以下のような条件がある場合は、必ず記載しましょう。
- 週末や祝日は対応していない
- 注文処理の締切時間をすぎると翌営業日の扱いになる
- 繁忙期は発送までの日数が長くなる
また、商品を発送するまでの日数に加えて、商品が購入者の手元に届くまでの時間の目安を記載しておくことも重要です。翌日配達に対応している場合は、大きな強みになるので、ぜひ記載しましょう。
大手配送業者を中心に、配送日数を指定することが一般的になっていますが、あくまでも顧客のためのサービスの一つであり、法律上義務付けられているわけではありません。そのため、指定した日時に必ず配送するとは確約せずに、遅延する可能性があることも明記しておきましょう。
国内外の配送オプション
配送オプションをつける際は、対象となる地域を明確にする必要があります。オプションが複数ある場合は、表形式でリストアップし、購入検討者が情報をすぐに判別できるような工夫をしましょう。
また、日本郵便やヤマト運輸、佐川急便などの配送業者から選んでもらうように設定することもできます。配送業者のトラブルで配送が遅延した場合は、自社は責任を負わない旨を明記しておくことも重要です。
海外への配送にも対応するなら、EMSやExpressなどの高速配送で発送可能な地域や国についても記載しておきましょう。
配送方法
現地配送やオンライン購入、店舗受け取りなどのオプションを提供する場合は、注文後の手順と受け取り可能な範囲を明確に説明しましょう。
Shopifyのローカルデリバリーでは、購入者が実店舗の近隣エリアに住んでいる場合に、店舗から商品を直接配送できます。対応する配送エリア、配送料、最低注文額などをShopifyの管理画面から設定可能です。購入者は数時間以内に荷物を受け取れるので、利便性が高く、配送距離に応じて送料を設定できるため、購入者の負担を減らすことが可能です。
店舗受け取りに対応する場合は、手順やエリア、費用などについて明確に説明することで、安心して利用してもらえます。
キャンセル・交換・返品
配送中に商品が紛失・破損が発生した場合の手続き方法や条件などについても明記しておきましょう。たとえば、以下のような内容を記載するのがおすすめです。
- 交換の受付期間
- 返送時の送料負担
- 商品状態の基準
商品のキャンセルや返品・交換は、トラブルにもつながりやすいので、明確なルールを定めたうえで、誠実に対応する必要があります。
購入者都合の返品については、専用の返品ポリシーを通じて対応する場合がほとんどです。配送ポリシーでは、返金方法や条件などを簡潔に記載しておきましょう。
キャンセルや返品・交換の条件を明確にしておくことで、ユーザーとの信頼関係を構築しやすくなります。
発送ができないケース
ECサイト側の都合や配送業者のトラブルにより、商品の到着が遅れる可能性があることを明記しておきましょう。具体的には、以下について記載しておくのがおすすめです。
- 何日程度の遅延が予想されるのか
- どのような理由で遅延する可能性があるのか
- 遅延した際に連絡してもらえるのか
自然災害や輸送トラブル、品切れなど、さまざまな理由で発送できないケースが想定されます。対応方針を明確にしておくことで、購入検討者に安心感を与えられるでしょう。
また、購入者都合で配送できない場合には、料金を請求する可能性があることを配送ポリシーに記載しておくことも重要です。実際に請求するかどうかは、個別に検討しましょう。
配送ポリシーのテンプレート
Shopify公式の配送ポリシーのテンプレートはありません。以下の2つの例を参考に、自社サイトに合った配送ポリシーを作成しましょう。
送料無料のテンプレート
全国一律送料無料のテンプレートは以下のとおりです。
送料について
本ウェブサイト(以下、「当ショップ」)は全国一律送料無料でお届けいたします。
<配送方法について>
配送方法は当ショップ指定の方法とし、原則としてお客様にご選択頂くことは出来ません。
<配送日数について>
ご注文より◯営業日以内に出荷させていただきます。
自然災害や大規模なイベント等が開催される地域においてはその限りではございません。
予めご了承ください。
<配送中の破損等について>
梱包の際は外箱にへこみやキズが付かないよう十分に配慮のうえ、出荷準備をいたしております。
しかし、配送業者に引き渡し後に輸送中に何らかのトラブルや、配送業者の責任による損傷などが発生する可能性はございます
本体のご使用にあたって支障のない範囲の外箱のへこみやキズ等は、ご理解頂けますようお願い申し上げます。
一律の送料設定のテンプレート
一部地域を除いて全国一律の送料に設定する場合のテンプレートは以下のとおりです。
送料について
本ウェブサイト(以下、「当ショップ」)は、一部地域を除き全国一律 500円(税別)となります。ただし、北海道・沖縄のみ 1,000 円(税別)となります。
なお、商品を合計5,000円以上お買い上げいただきますと、送料が無料となります。
<配送方法について>
配送方法は当ショップ指定の方法とし、原則としてお客様にお選び頂くことは出来ません。
時間帯のご指定や日付指定も原則として承っておりません。
<配送日数について>
基本的には配送完了後、2〜3日で到着いたします。(離島などの場合、3〜4日程度かかる場合もございます。)
なお、自然災害や大規模なイベント等が開催される地域においては、その限りではございません。予めご了承ください。
<配送中の破損等について>
梱包の際は、外箱にへこみやキズが付かないよう十分に配慮のうえ、出荷準備をいたしております。
しかし、配送業者に引き渡し後、輸送中に何らかのトラブルや、配送業者の責任による損傷などが発生する可能性はございます。
本体のご使用にあたって支障のない範囲の外箱のへこみやキズ等は、ご容赦頂けますようお願い申し上げます。
配送ポリシーの5つの設置場所
リンクの設置場所や方法を工夫することで、配送ポリシーを確認してもらいやすくなり、ユーザーエクスペリエンスの向上を図ることができます。配送ポリシーを設置する際は、ユーザーが一目でわかる場所に設置しましょう。必要に応じて、複数箇所に設置するのも効果的です。
1. 告知バー
告知バー(告知バナー)は、ウェブサイトの上部にテキストを表示できる場所で、ECストアの配送に関する情報を伝えるのに効果的です。以下のような情報を掲載しておくと良いでしょう。
- 送料無料になる条件
- 遅延の可能性に関する免責事項
- 代替配送オプション
また、配送の遅延や注文の大幅な増加が予想されるような場合、アナウンスバーを利用することで、素早く情報を伝えることができます。アナウンスバーは、Shopifyのテーマにも組み込まれていますが、アプリを利用して追加することも可能です。
2. フッター
フッターは、配送ポリシーやカスタマーサポートなどのリンクを設置するのによく使われる場所です。そのため、ユーザーが配送ポリシーを探す際には、最初にフッターを確認する可能性が高いでしょう。
また、ECサイトのナビゲーションメニューに配送ポリシーへのリンクを組み込むことで、見つけやすくなります。基本的には、フッターのみの設置で問題ない場合がほとんどです。
3. 商品ページ
商品ページを閲覧している際は、配送に関する疑問が出やすいため、配送ポリシーの一部を抜粋して記載するのがおすすめです。
たとえば、送料無料の条件について記載したり、配送情報を表示する専用タブを設けたりするのも良いでしょう。商品購入時に配送情報がわかりやすく表示されていれば、ユーザーは安心して商品を購入できます。
ユーザーの疑問や不安を解消できるように、わかりやすく整理した情報を記載しましょう。
4. FAQページ
FAQページでは、配送に関してユーザーから寄せられる可能性のある質問に答えることができます。配送ポリシーの内容を改めて記載することで、ユーザーが別途質問をする手間を省くことができ、また同じ質問に何度も回答する必要がなくなるので、双方にメリットがあります。
また、返品ポリシーや送料無料になる条件などの魅力的なアピールポイントを強調するのにも適しています。ユーザーの疑問に事前に答えられるため、スムーズな意思決定を後押しできるでしょう。
5. 配送オプション
配送オプションに、ラベルを付けて配達までの時間を伝えるのもおすすめです。配達までに時間がかかる配送方法が選択肢にある場合は、ユーザーが自分に合ったオプションを選択しやすくなります。
具体的な配達予定日時を明記することで、注文についての問い合わせを減らせるメリットもあります。ただし、商品の種類や配送システムによっては、必ずしもラベルをつける必要はありません。一律の配送日数で十分な場合は、ラベルをつけるとかえって視認性が悪くなる可能性があります。
Shopifyストアに配送ポリシーを追加する方法
配送ポリシーを決済画面のフッター以外からもリンクさせるには、3つの手順があります。ECサイトに配送ポリシーを追加して、ユーザーの利便性を高めましょう。
管理画面から配送ポリシーを作成する
管理画面から配送ポリシーを作成すると、自動的に決済画面のフッターにページがリンクされます。配送ポリシーの追加方法は次のとおりです。
- 管理画面の設定から「ポリシー」を選択する
- 配送ポリシーの内容を入力する
- 保存する
- 決済画面のフッターにリンクが追加される
すぐに配送ポリシーを追加したい場合は、管理画面からの作成だけでも問題ありません。
配送ポリシーのページを新たに作成する
決済画面以外にも配送ポリシーを追加したい場合は、ページを新たに作成する必要があります。新しいページの作成方法は次のとおりです。
- 管理画面の設定から「アプリと販売チャネル」を選ぶ
- アプリと販売チャネルのページから「Online Store」を選択する
- 「販売チャネルを開く」を選ぶ
- 「ページ」をクリックし、「ページの追加」を選ぶ
- タイトルと配送ポリシーの内容を入力する
- 保存する
ECサイト内の好きなページに配送ポリシーを設置できるので、ユーザーに充実した情報を提供することができます。
新しいページをフッターに追加する
新しいページに作成した配送ポリシーをフッターに追加する手順は次のとおりです。
- 「メニュー」を選ぶ
- ナビゲーションページで「フッターメニュー」を選ぶ
- 「メニュー項目の追加」を選択する
- 新しく作成した配送ポリシーページのタイトルを入力する
- 「リンク」フィールドから作成した配送ポリシーページを選択する
- 「メニューの保存」を選ぶ
決済画面のフッターページに加えて、ECサイト内に設定した任意のページからも配送ポリシーを確認できるようになります。
まとめ
配送ポリシーとは、ショップが購入検討者に対して、商品の配送方法や条件を説明するものです。法的な義務はありませんが、トラブル防止のためにも設置することをおすすめします。
配送ポリシーには、送料や商品を発送するまでの日数、配送方法、発送ができないケースなどを記載しましょう。購入検討者に安心して購入してもらうために必要な情報を漏れなく記載することが重要です。
作成した配送ポリシーは、フッターやFAQページなど、わかりやすい場所に設置しましょう。これからECサイトを開設する人は、この記事を参考に、配送ポリシーを作成してみてください。
よくある質問
Shopifyに配送ポリシーの公式テンプレートはある?
配送ポリシーに関する公式テンプレートはありません。この記事で紹介しているテンプレートや、他のショップの配送ポリシーを参考に作成しましょう。
配送ポリシーは絶対に必要?
配送ポリシーの作成は、法律で義務付けられているわけではありません。しかし、配送ポリシーを定めていないと、配送料や手続き方法に関してさまざまな解釈が可能になってしまい、トラブルの原因になります。ユーザーに安心して利用してもらうためにも、配送ポリシーを作成しましょう。
文:Kana Fukuzumi