PayPalは世界中で使われている決済サービスで、オンラインでの金融取引を簡単かつ安全に行うためのものです。ユーザーは、メールアドレスや携帯電話番号を使って商品の支払いができます。ShopifyなどのECプラットフォームで構築したオンラインストアにも簡単に導入できます。この記事では、PayPalの仕組み、Shopifyストアへの導入方法、メリットなどをまとめました。
PayPal(ペイパル)とは?
PayPalは、世界で4億以上のユーザーが利用し、3,000万以上のビジネスで導入されている便利で安全なオンラインの決済サービスで、ECサイトやウェブサービスでの支払い手段として利用されるものです。世界200か国以上の国と地域で利用でき、100通貨以上に対応しているため、国内対象のECストアを営む事業者にも、越境ECを行う事業者にも最適な決済手段と言えます。
消費者は商品を購入する際にPayPalを経由することで、クレジットカードや銀行口座の情報をその場で入力することなく、PayPalアカウントに事前に登録した金融情報を用いて支払いができます。取引の際に、支払先に直接金融情報を知らせる必要がないため、セキュリティが高いとされています。
PayPalの仕組み
PayPalを利用した決済方法はシンプルで、買い手がネットショップなどで商品を購入する際、支払い方法としてPayPalを選択すると、PayPal側で決済の処理が行われる仕組みとなっています。買い手は、事前にPayPalのアカウントを作成し、メールアドレスやパスワード、銀行口座やクレジットカードの情報を登録しておく必要があります。PayPalの具体的な仕組みは以下のとおりです。
1. 買い手が支払い方法を選択・承認する
顧客(買い手)がオンラインで商品を購入する際にPayPalを選択します。さらに、PayPalアカウントにあらかじめ登録されているクレジットカード、デビットカード、または銀行口座のいずれかを選択し、支払いを完了させます。
2. PayPalが代金引き落としの処理を行う
PayPal側で代金引き落としの処理が行われます。決済時に顧客が指定した決済手段(クレジットカード、銀行口座など)で代金が引き落とされます。
3. PayPalから事業者に代金が送金される
代金は通常、決済後数分以内に事業者のPayPalアカウントに入金されます。
ShopifyストアにPayPalを導入する方法
Shopifyで構築したECストアにPayPalを導入するには、あらかじめPayPalビジネスアカウントを取得して初期設定を済ませ、その後Shopifyで決済方法としてPayPalを設定する必要があります。具体的には、以下の流れに沿って進めていきます。
1.PayPalビジネスアカウントを取得する
PayPalのアカウントを持っていない場合は、PayPalの公式ウェブサイトで「新規登録(無料)はこちら」をクリックし、アカウントを作成します。作成の際に費用はかかりません。PayPalアカウントには「パーソナル(個人)アカウント」と「ビジネスアカウント」の2種類がありますが、ShopifyストアにPayPalを導入するには、「ビジネスアカウント」を選択します。その後、画面の案内に沿って必要事項を入力してください。
PayPalの「パーソナル(個人)アカウント」をすでに取得している場合は、PayPalの設定画面で「ビジネスアカウントへのアップグレード」をクリックし、必要な情報を入力することで、PayPalアカウントをビジネスアカウントに切り替えられます。
2. PayPalで本人確認手続きを行う
PayPalアカウントにログインした状態で、本人確認手続きに必要な書類をアップロードするかオンラインで提示します。ビジネスアカウントは個人も法人も取得できますが、両者で必要となる書類や手続きが若干異なります。法人の場合は、PayPalアカウント管理者本人の個人の確認書類に加え、法人の本人確認書類が必要となります。
3.PayPalに銀行口座を登録する
PayPalアカウントで引き続き、銀行口座を登録します。ページ上部のツールバーにある「お支払い・決済の受け取り」>「銀行・カード」をクリックします。次に、「銀行口座」セクションで「銀行口座の登録」をクリックし、ページの指示に従い、銀行口座を追加してください。
4.Shopifyストアの決済手段にPayPalを設定する
次にShopifyの管理画面に移動し、決済手段としてPayPalを有効化します。「設定」>「決済」をクリックした後、画面下部にある「別の決済方法」でPayPalを見つけ、「PayPalを有効化する」>「PayPalエクスプレスチェックアウトを有効にする」をクリックしてPayPalアカウントに接続します。PayPalビジネスアカウントの情報(メールアドレスやビジネス情報)を確認または入力することで、ShopifyでのPayPal決済が有効になります。
5. 決済オプションを確認する
最後にShopifyの支払い設定ページでPayPalが有効になっているか確認します。PayPalの画面を閉じた後、Shopifyの管理画面に戻り、「設定」から「決済」セクションに進んでください。ここでPayPalが「アクティブ」と表示されていれば、設定は完了しています。
なお、PayPalをShopifyストアに導入するには、1~5の手順で示したようなPayPalと直接契約する方法のほか、Shopifyペイメントなどの決済代行サービスを経由する方法もあります。こうした決済代行サービスを使用すると、後払い決済や電子マネー決済など、さらに多くの決済手段をECストアに一括で導入できるようになります。また、PayPalと直接契約した場合、支払われた商品代金は直接銀行口座に振り込まれるわけではなく、いったん事業者のPayPalアカウントに入金されます。しかし、決済代行サービスを利用すれば、事業者の銀行口座に日本円で直接入金することが可能です。
PayPalを導入するメリット
自社構築のECストアで決済オプションの一つとしてPayPalを導入すると、ECストアでクレジットカード決済や銀行口座振替、越境ECなどに対応できるようになるなど、さまざまなメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。
1. クレジットカード決済をかんたんに導入できる
PayPalをECストアに導入すれば、簡単に各種クレジットカードからの支払いに一括で対応できるようになります。ECサイトのプラットフォームの多くでPayPal用プラグインが用意されており、このプラグインを使用すればECサイトにすぐクレジットカード決済を導入できます。
2. 銀行口座からの支払いにも対応できるようになる
PayPalは銀行口座からの支払いにも対応しているため、PayPalを導入することで銀行口座支払いもECサイトで受け付けられるようになります。クレジットカードを持っていない顧客や、カード情報を入力したくない顧客も利用しやすくなります。
3. 越境ECを始めやすくなる
PayPalは200以上の国と地域、100通貨以上の通貨に対応しているため、導入することで国際的な取引がスムーズに行えるようになります。顧客が支払いをするときの決済画面は現地の言語で表示されるため、海外販売の際にも快適な決済環境を提供できます。
4. セキュリティ対策を万全にできる
支払い情報を安全に保護するため、PayPalでは先進的なセキュリティ対策が施されています。事業者はクレジットカード情報や銀行口座情報を管理する必要がありません。また、不正取引などの被害を補償する売り手保護制度を無料で利用できます。PayPalではクレジットカード情報保護のための国際セキュリティ基準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠しているため、安全な取引が実現します。
5. 充実したサポートを受けられる
PayPalでは電話やチャットを使って日本語で問い合わせできたり、コミュニティフォーラム(英語のみ)を利用できたりするなど、充実したサポート体制が提供されています。支払いの取り消しが不当と判断された場合には、適用条件を満たすことで売上代金の補償を受けることも可能です。PayPalを利用することで、カードの不正利用や未払いといったオンラインショッピングに伴うトラブルを未然に防ぐことができます。
顧客にとってのPayPalのメリット
1. セキュリティ性が高い
前述のようにPayPalは先進的なセキュリティ対策が施されているため、顧客も安心して利用することができます。顧客がPayPalに登録したクレジットカードや銀行口座の情報はPayPalによって保護され、事業者には直接伝わりません。また取引は、PayPalで24時間365日モニタリングされており、不審な動きがあった場合にはアカウントを制限するなどの措置が取られます。顧客の被害を最小限に抑える仕組みが採られているため安心です。
2. 海外のECサイトで支払いが可能となる
PayPalは前述のように200以上の国や地域で利用可能で、100以上の通貨に対応しているため、海外のECサイトで買い物する際、PayPalを使えば簡単に支払うことが可能となります。
3. 決済手段の選択肢が多い
クレジットカード、デビットカード、銀行口座などさまざまな決済手段を選べることもメリットの一つです。顧客は自分の利用しやすい方法で支払いができるため、たとえばポイント還元率やキャッシュバック率の高いクレジットカードを使って決済することも可能になります。また、特定の決済方法に問題が発生した場合も、他の手段を使って決済できます。
PayPalビジネスアカウントの手数料
PayPalビジネスアカウントでは、決済の際や銀行口座にお金を引き出す際、あるいは通貨換算の際などに手数料が発生します。以下は一般的な手数料の概要です。
1. 決済手数料(国内取引)
送金人と受取人の両者が日本国内の居住者として登録されている場合、PayPalでは日本国内での取引と見なされますが、この場合基本的には、支払いを受け取った側が3.60% + JPY 40.00 / 件をPayPalに決済手数料として支払う必要があります。
2. 決済手数料(海外取引)
送金人と受取人が異なる市場の居住者として登録されている場合の取引は、PayPalで海外取引と見なされますが、この場合、国内取引で発生する決済手数料の金額に加え、0.50%の割合手数料、さらに固定手数料が発生します。固定手数料の額は受け取った通貨によって異なります。
3. 出金手数料
PayPalから日本の銀行口座にお金を引き出す際、引き出し金額が5万円未満の場合は250円の手数料がかかります。5万円以上の場合は手数料無料です。引き出しの最低金額は251円です。
4. 通貨換算
異なる通貨で取引を行う際には、通貨換算の手数料も以下のとおり発生します。
- 送金側が負担する場合: 4.00%
- 受け取り側が負担する場合: 3.00%
まとめ
PayPalは、オンライン決済を安全かつ迅速に行う電子決済サービスです。今回はPayPalの仕組みや導入方法、メリットなどを解説しました。PayPalは、ECストアに導入することで迅速な決済が可能となるため、事業者にとっても顧客にとってもメリットとなります。また、PayPalでは高度なセキュリティ対策が施され、安全性も確保されています。PayPalは買い手と売り手の双方にとって利便性が高く、安心して利用できる決済手段の一つと言えるでしょう。
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よくある質問
PayPalとは何ですか?
PayPalとは世界で4億以上のユーザーが利用し、3,000万以上のビジネスで導入されている、便利で安全なオンライン決済サービスです。顧客はクレジットカード情報や銀行口座情報をECサイトで直接入力しなくても、PayPalアカウントに登録された情報を使って簡単に支払いができます。
PayPalのメリットは何ですか?
PayPalが顧客(買い手)と事業者(売り手)の取引を仲介するため、顧客はカードや銀行口座の情報を事業者に伝えることが不要となり、事業者は支払い情報を管理することが不要となります。サポート体制の充実も魅力です。また、越境ECにも適しているなどのメリットもあります。
PayPal.Me(ペイパルミー)とは何ですか?
PayPal.Meは、PayPalが提供する集金用リンク(URL)の作成サービスです。このサービスを使うことで、ユーザーは自分専用のURLを作成し、そのリンクを他人と共有することで、入金を簡単に促すことができます。
PayPalの売り手保護制度とは何ですか?
PayPalの売り手保護制度は、製品やサービスの販売において、売り手が不利益を被ることを防ぐためのプログラムです。支払いの取り消しや不正請求が顧客(買い手)から行われた際、事業者(売り手)が一定条件を満たすことで対象金額全額の返金を受けることができます。
文:Chieko Hiroi