商品説明は、ただ商品の特徴や機能を列挙するだけではなく、顧客の心を動かし、購買意欲を高めるための重要なツールです。実店舗のないECサイトにおいて、商品説明は顧客に対する必要不可欠なコミュニケーション手段でもあります。売れるネットショップは、商品説明の文章を上手く活用することで顧客を購買に導いています。この記事では、売れる商品説明を作成するための9つの方法を、事例と共に紹介します。
商品説明とその目的
商品説明は、顧客に対して商品の詳細を説明するとともに、購入する価値があると思ってもらうための文章です。そして、そのスタイルや文章のトーンなどは、ブランドイメージにも直結していきます。商品説明の工夫は、マーケティングアイディアのなかでもコストのかからない手法のひとつといえるでしょう。
商品説明が果たすべき目的は、主に次の2つです。
- 商品の詳細を伝える:商品の特徴、用途、機能、サイズ、価格などの情報を伝える。
- 商品の価値を伝える:顧客のどんな問題を解決し、どんな体験をもたらし、競合品と比べて何が優れているのか、どんなストーリーがあるか、など魅力を感じられるポイントを伝える。
商品説明を書くときにやりがちなミスは、詳細情報に終始してしまうことです。優れた商品説明はただの説明に終わらず、商品の価値を伝え、訪問客を購入まで誘導することができます。
売れる商品説明の書き方9つ
1. 顧客をイメージして語りかける
自分のショップの顧客をイメージして語りかけましょう。ターゲットとなるユーザー像のペルソナを設定することも効果的です。顧客は何歳くらいで、どこに住んでおり、何が趣味で、どんなユーモアを好み、どんな言葉遣いをしているでしょうか。どんな表現や語り口に親しみを感じるでしょうか。もし実店舗で商品を販売するとしたら、どんな風に顧客に話しかけるか、想像してみましょう。
肉の専門店WHOLE MEAT(ホールミート)の商品説明の例を紹介します。
WHOLE MEATは「でっかいステーキをみんなで楽しみたい」という顧客に向けて肉を販売しており、このステーキの商品説明もそういった人に向けて書かれていることがわかります。「豪快にかぶりつく」「アニメ肉」「ジューシー」など、肉好きな顧客の想像力を膨らませるようなフレーズが並び、「グリルにのせちゃってください!」という呼びかけは、友達からおすすめされているようにも聞こえます。肉が好きで、友人とバーベキューをしたい人の興味をひく商品説明になっています。
2. 機能ではなく、商品がもたらすベネフィットを伝える
自分の商品を売ろうとすると、商品にどんな特徴があり、作るとき何にこだわったかを語りたくなってしまうかもしれません。ですが大切なのは、機能やスペックそのものよりも、その商品が顧客にどんなベネフィットをもたらすかということです。商品を買うことで、これまで抱えている課題がどう解決されるのか、生活がどんな風に変わるかを、イメージしてもらえるようにしましょう。
小柄な女性向けのアパレルブランドCOHINA(コヒナ)の商品説明を、例としてとりあげます。
ワークパンツの商品説明では、「小柄さんがカッコよく履けるシルエット」という言葉で、かわいい印象で見られてしまいがちな小柄な女性であっても、かっこいい雰囲気をまとうことができるというベネフィットが提示されています。また「カジュアルスタイルからきれいめカジュアルまでばっちり決まる!」という文章は、顧客に実際の使用シーンを想起させる効果があります。商品を自分のクローゼットに加えると、どんなシーンで使うことができ、どんなベネフィットが得られるのか、思い描くことができる文章になっています。
3. 常套句を避け、具体的に記す
「高品質な商品」「特別な商品」「大人気の商品」など、退屈な常套句の多用を避けましょう。こういった表現には、ほとんど意味がありません。顧客をしらけさせ「あー、はいはい、みんなそう言うよね」と思わせてしまう可能性さえあります。常套句を避け、商品説明に説得力をもたせるには、具体的に記載することが重要です。
そのわかりやすい例として、女性のためのヨガウェアを販売するKIT(キット)の商品説明があります。
KITは「高品質」といった抽象的な表現を使わずに、箇条書きで具体的な特徴を列挙することで、その品質の高さを十分に伝えています。また「Vシェイプのウエストベルト」といった一言では理解しづらい特徴に対しては、商品画像に説明を追加し、実際に何を指しているのか理解できるようにしています。
4. 大げさに聞こえるフレーズには根拠を添える
「最先端」「世界一」「世界初」「世界にひとつしかない」「最安値」などのフレーズは、大げさに聞こえてしまい、本当にそうなのか疑われてしまうおそれがあります。ですが、その表現が嘘ではないのだと証明することができれば、話は違います。オーバーに感じられそうな文言を使用するときには、必ず根拠を添えましょう。
印象的なキャッチコピーで有名な、Apple(アップル)の商品説明の例を見てみましょう。
iPad Proの商品説明では「薄いにも、ほどがある。」というコピーと共に、「史上最高に薄いApple製品」などの、誇張表現にも見えるフレーズが並んでいます。しかし、その直後に、「5.1mm」という具体的な数値が印象的な画像に添えられて提示されており、本当に薄いのだということが証明されます。
5. 顧客を商品の世界に誘い込む
商品の世界観をイメージさせることも効果的です。「想像してみてください」と呼びかけたり、使用シーンの風景を詩のように描写したりすることで、顧客は商品を使用したときの具体的な状況を感情まで思い描くことができます。
茶香炉の販売を行うMABOROSHI(マボロシ)の商品説明の例を見てみましょう。
茶香炉の商品説明では、移りゆく四季の美しさを想像させるフレーズが綴られています。自然の移ろいの中に安らぎを見出すという、MABOROSHIの世界観を表現した文章により、顧客は茶香炉によってもたらされるおだやかな時間を思い描くことができます。また、機能や使い方などの詳細については別のページにまとめられており、その雰囲気を邪魔しない工夫がなされています。
6. 商品の背景にあるストーリーを語る
商品の背景にあるストーリーも、顧客の興味を引く要素になります。ストーリーそのものが興味深ければ、顧客は商品を売り込まれているということを感じずに、説明を読み進めることができます。自分がストーリーを書くときは、誰がこの商品をつくり、どんなきっかけで商品が生まれたのか、商品開発において乗り越えなければならなかった障壁はあったかなどをまとめて、語れるようにしておきましょう。
日本各地の醤油を100mlサイズで販売している醤油の専門サイト、職人醤油の例を紹介します。
さまざまな醤油を販売している職人醤油では、説明のほとんどに、その蔵元で作られた背景のストーリーが載せられています。ストーリーは訪問者に対し、作り手の姿勢を伝え、醤油にまつわるエッセイを読んでいるような感覚を与えます。またサイトには、それぞれの蔵の歴史や、働いている人へのインタビューをまとめた蔵紹介のページも設けられています。作る人々の顔が見えるような商品の説明により、顧客もそれぞれの商品により愛着をもつことができるでしょう。
7. 五感を刺激する言葉を使う
優れた商品説明を書くコツのひとつは、商品の見た目、味、匂い、手触りや舌触り、音などの表現を含めることです。五感を刺激する言葉を使用することで、顧客は商品をよりリアルに想像することができます。
2023年の研究では、感覚に訴える単語を含む投稿は、より高いエンゲージメントを生み出すことが判明しました。また別の研究では「touch(触る)」という単語を読んだ人の脳が実際に何かを触ったときのように反応することがわかっています。
宅配ミールキットを販売するGREEN SPOON(グリーンスプーン)の商品説明の例を見てみましょう。
見た目(「肉厚な鱈」)、味(「旨みとコク」「甘味」「エスニック風味」)、匂い(「爽やかな香り」)、食感と音(「カラッ」「サクサク」)というように、商品説明には五感を刺激する言葉がすべて詰まっています。オノマトペも効果的に使用され、商品がイメージできる文章です。
8. 顧客レビューを表示する
どの商品を買うべきか迷う時、実際に購入した人の口コミやレビューといったUGC(ユーザーが作成したコンテンツ)に頼る人は少なくありません。アライドアーキテクツが2022年に行った調査によると、商品やサービスを購入する際に口コミやレビューを参考にする人の割合は64.6%にのぼるといいます。また、ZETA(ゼータ)が2024年に行ったUGCと購買活動に関する調査からは、あらゆる年代の消費者がUGCを購入時の参考にしていることがわかっています。
菌でケアをするというコンセプトで海外販売も行なっている化粧品ブランドKINS(キンズ)の商品説明の例を見てみましょう。
KINSの商品説明のページでは、使用者によるレビューがぱっと見やすいデザインで表示されています。各レビューには、使用者の年代と肌質、使用期間を記すことで、購入を検討する人に詳細な判断材料を与えています。さらに、口コミ一覧のページでは全レビューが参照できるようになっており、安心感をさらに高めています。
9. 簡潔にまとめる
情報をしぼり、簡潔にまとめた商品説明が、かえって商品そのものの魅力を引き出すことがあります。
こちらは、五島列島の特産品を扱う山本海産物の商品説明の例です。
山本海産物では、余白を生かし、一画面の中におさまる情報をしぼりこんだレイアウトにより、商品名と画像に意識が集中するようにしています。簡潔でシンプルな説明文は、素材の良さという魅力を引き立てるものといえるでしょう。珍しい縦書きの文章も目を引きます。原材料や内容量、保存方法などの詳細は、下にスクロールすることで確認できるようになっています。
まとめ
商品説明は、単なる情報提供の手段ではなくマーケティングツールであり、実店舗のないECサイトでは顧客との重要なコミュニケーションツールです。感覚に訴えかける言葉や具体的なストーリーを取り入れ、商品の価値や魅力を伝えられれば、多くの人の心をつかむことができます。商品説明を書く際は、顧客の購買意欲を高められるように、ぜひ今回紹介した9つの方法を意識してください。
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商品説明についてのよくある質問
商品説明文とは?
商品説明文は、その商品がどんなもので、なぜ買う価値があるのかを説明するマーケティングコピーです。
商品説明文の目的は?
- 商品の詳細を伝える:商品の特徴、使い方、機能、サイズ、価格などの情報を伝える。
- 商品の価値を伝える:商品は顧客のどんな問題を解決し、どんな体験をもたらし、競合と比べて何が優れているのか、どんなストーリーがあるか、など魅力を感じるポイントを伝える。
商品説明文のよくあるミスとは?
商品の特徴、使い方、機能といった詳細の説明に終始してしまい、その価値や魅力が充分に伝わらないことです。
売れる商品説明の書き方は?
- 顧客をイメージして語りかける
- 機能ではなく、商品がもたらすベネフィットを伝える
- 常套句を避け、具体的に記す
- 大げさに聞こえるフレーズには根拠を添える
- 顧客を商品の世界に誘い込む
- 商品の背景にあるストーリーを語る
- 五感を刺激する言葉を使う
- 顧客レビューを表示する
- 簡潔にまとめる
良い商品説明文を書けるようになるには?
人気のストアの商品説明を読んで勉強したり、この記事にある例文を研究したりしてみましょう。
文:Taeko Adachi