どの業種であっても、どのような会社・ブランドなのかを紹介するAboutページやAbout Usページの掲載は重要です。「ストーリー」「ミッション」「会社案内」など、名称は異なるかもしれませんが、このページの第一の目的はブランドの人となりを伝えることで、サイト訪問者はブランドについてよく知りたいと思ったとき、まずこのページを探します。
しかし、どのようにAboutページを作成すればいいかわからない方もいるでしょう。この記事では、Aboutページの書き方や参考事例などを紹介します。
Aboutページの役割
Aboutページの本質は、顧客とのつながりを強め、信頼感を獲得したり、他社と差別化したりすることにあります。
Aboutページに記載する情報は、ブランド・会社の歴史や目的、実績やチームメンバーなどで、ウェブサイトによってタイトルも異なり、「About Us」「◯◯(会社名や商品名など)について」「ストーリー」「ミッション」「会社概要」など独自のページタイトルをつけることができます。
ブランド構築やブランド戦略の一つとしても重要なAboutページですが、多くの企業は単に会社情報などを記載するページとしてしか認識しておらず、Aboutページの利点を生かせていません。Shopifyの顧客満足度調査(英語)によると、顧客は商品を販売している会社の概要を確認する傾向が強く、信頼できる会社か、企業の価値観に共感できるかの2点を主にみています。そのため、Aboutページでは企業のストーリーやセールスポイントに焦点を当て、顧客の信頼や共感を得られるようにする必要があります。
以下の5つのポイントを含めると、企業について顧客が知りたいと思うことに答えつつ、強みや魅力を伝えられるページになるでしょう。
- ビジネスのストーリーや、始めた理由
- 誰に向けた、何のためのビジネスなのか
- ビジネスモデルや、商品製造過程の説明
- 創設者やチームメンバーなどの紹介
- ブランドヒストリーなどの動画や、情報を視覚的にまとめたインフォグラフィック、ブログやSNSへのリンクなど
ブランドや会社のビジョン、ミッション、ストーリーをアピールしてAboutページの内容を充実させ、顧客との信頼関係を築いていけるページにしましょう。
Aboutページの書き方:テンプレート
Aboutページでは、まずブランドに関するストーリーを紹介し、読者とのつながりを作っていきましょう。以下はAboutページのストーリーテンプレートです。
【創業者】は、【業界の問題点の説明】を解決するため、【会社】をスタートさせました。
それが【解決策にたどり着くまで】の理由です。
その過程で、【マイルストーンや達成したことの共有】がありました。
私たちは、【今後のミッションの表明】をしていきたいと考えます。
実際に使うコピーは一人称(私・私たち・我々など)で書くようにすると、親近感を抱いてもらうことができます。創業者やチームを主人公にしたり、ビジネス自体をキャラクター化したりして独自のストーリーを語る方法もあります。
Aboutページのストーリーを作る際に意識したいポイントは「変化を伝える」ことです。創業者やチームメンバーがどのように課題と出会い、解決していくかを流れで紹介すると伝わりやすくなります。
以下の5つの項目でストーリーを構成しましょう。
- 場面の設定:主人公やストーリーの設定をおこない、主人公やターゲット層、業界の現状などを提示する
- 課題の紹介:主人公が立ち向かう問題を解説する
- チャレンジの内容:解決策を見つけるためにやったこと(例:ビジネスの立ち上げ)とその過程における困難について紹介する
- 解決策の発見:主人公が目的を達成するためにおこなったことや、これまでのマイルストーンを紹介する
- 未来の展望:会社のビジョンやミッション、目標について述べる
これらの項目を考えていくとストーリーの骨格ができるため、それをAboutページに組み込みましょう。
しかし、ストーリーは出発点にすぎません。良いAboutページはストーリーをただ語るのではなく、魅せるのです。Aboutページは、ストーリー以外にもビジネスモデルやチームメンバーの紹介などを含めたほうが、より顧客にブランドの魅力が伝わります。次に、Aboutページをデザインする際に入れたいおすすめの要素を紹介します。
Aboutページのデザインに入れたい要素
ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、事業で利益を生み出したり、企業の価値を高めたりするための仕組みのことです。もし、自社だけの強みであるUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)がある場合、Aboutページに含めることで競合他社との差別化が図れるでしょう。ブランドの透明性をアピールしたいなら、商品の調達から販売までの過程やビジネスの仕組み、寄付する収益の内訳などをAboutページで紹介するのも一つの方法です。
また、ビジネスモデルをAboutページで紹介するときは、イラストなどを使って表現すると顧客も理解しやすくなります。たとえばレザーブランドのHushTug(ハッシュタグ)は、中間業者を排除しているビジネスの仕組みを図解しています。
このように、他社とどのように違うのかひと目で理解できるようにすると、顧客にもどのようなビジネスなのかが伝わりやすくなるでしょう。
メディア掲載、推薦のことば、受賞歴
レビューやメディア掲載、受賞歴やユーザー作成コンテンツなどがある場合は、それらをAboutページに入れて、顧客や業界にインパクトを与えていることをアピールしましょう。
社会的に評価されていることをAboutページで伝えるにはさまざまな方法があります。たとえば、以下のようなアピール方法があります。
- 顧客コンテンツのInstagramギャラリーを埋め込む
- ブランドを取り上げたメディアや雑誌などのロゴを掲載する
- 顧客レビューを引用する
特に、メディア掲載や受賞歴などはストーリーの中間地点を伝えるマイルストーンとして利用するといいでしょう。たとえば、石鹸メーカーの木村石鹸は、雑誌やラジオなどメディアで紹介された情報を掲載しています。
正確な数字
会社のミッションを主張する、自社ビジネスの影響を示す、といった場合は、使える数字をAboutページに含めることを検討してみましょう。企業が解決しようとしている課題や、ビジネスにおいて達成してきたことを説明する際はとくに、数値で示すことで説得力が増し、顧客にとってわかりやすくなります。
商品の販売数や経営年数、業界の問題点を説明する数値など、関連する数字がないか探してみましょう。木製品を販売するENJOY THE WOOD(エンジョイ・ザ・ウッド)では、チャリティープログラムで植樹した木の本数や相殺した二酸化炭素の量、この行為が地球にとってどれほど重要かを数字でアピールしています。
チーム紹介
チームメンバーをAboutページで紹介することで、顧客との関係を築きやすくなります。なぜなら、リアルな人間をブランドに結びつけることで安心感が生まれ、全体的に良い印象を与えるからです。また、メンバーの経歴や経験を書くことで会社がいかに市場に適したものになっているかを伝えることができます。
もし、創業者だけしか紹介できない場合でも、ブランドの顔であるあなたの経歴や経験、思いなどを表現することで、ブランドのパーソナリティを理解してもらいやすくなります。
デジタル窓を開発するATMOPH(アトモフ)では、創業者やエンジニア、デザイナー、管理者など幅広いメンバーを紹介しています。
動画またはフォトギャラリー
Aboutページに使用するメディアを多様化させ、動画や写真を挿入してテキストを分散させるようにしましょう。Aboutページでは、文字だけでなく動画や写真も利用することで、ブランドやサービス内容がより伝わりやすくなります。製品ができるまでの裏側やビジネスの内側をのぞけるような動画や写真をAboutページにまとめるのも効果的です。
たとえばBONAVENTURA(ボナベンチュラ)は、レザー製品ができるまでの過程からパッキングまでの裏側を動画で紹介しています。
リンク、CTA
リンクやCTA(行動を促すボタンなど)を挿入し、顧客をウェブサイトのほかのページやブログ、SNSなどに誘導しましょう。About Usページでブランドや企業により強い関心を持ってくれた顧客を誘導することで、エンゲージメントを高めることができます。たとえば、SNSのフォローや商品の購入、メルマガ登録などがしてもらいやすくなるでしょう。
多くのブランドや会社はAboutページの最後に関連するリンクを埋め込んでいます。顧客の誘導先には以下のようなものが考えられます。
- SNSアカウント
- メルマガ登録画面
- 商品ページ
- 会社の求人情報
- ブログ
ランドセルを販売するgrirose(グリローズ)では、Aboutページの最後のほうにメールマガジン登録のフォームとInstagramなどのSNSへのリンクを掲載しています。
参考にしたいAboutページ事例5つ
カキモリ:お客様への手紙
文具を扱うカキモリのAboutページは、顧客への手紙という形式でストーリーと思いを伝えています。直筆の手紙を画像化しているため、ストーリーを伝えるだけではなく、ペンと紙という実際に販売している商品の使用例にもなっています。
また、手紙の下には企業と地域や社会との関係も説明されており、ブランドが世界へもたらすインパクトも紹介しています。
ミウラタクヤ商店:創業者の自己紹介と体験談
健康食品を販売するミウラタクヤ商店のAboutページは、創業者のダイエットのビフォーアフター写真から始まります。ダイエット体験談やダイエットの勉強を始めた経緯、思いなどを自分の言葉で伝え、顧客と同じ目線に立つAboutページを作ることで、顧客もよりブランドや会社に対して親しみが持てるようになっています。また、ミウラタクヤ商店のAboutページは、ブログのようなデザインですが、内容は3つのセクションに分解できます。
- 誰なのか
- 何を売っているのか
- なぜやっているのか
どのようにAboutページを構成していけばいいかわからない方は、上記のような3つのセクションに分けて構成するといいでしょう。
Kurasu:日記&チーム紹介
KurasuのAboutページは日記のような構成になっていて、自伝のように起業までのストーリーを語ったうえで、コーヒーへの思いや未来の展望を伝えています。創業者だけでなく、チームメンバーの経緯やコーヒーに対する思いも含めることで、より親近感や説得力のあるAboutページになっています。
伝えたいストーリーやチームメンバーがいる場合は、このようなスタイルもAboutページの参考になるでしょう。
+CLOTHET:ブランド名の由来
+CLOTHET(クロスクローゼット)は、Aboutページでまずブランド名の由来を説明し、その次に、製品へのこだわりや理念、販売の仕組みなどを紹介しています。
ブランドの本質はブランド名に込められた意味や思いによって伝わることがあるほか、ブランド名を覚えてもらいやすくなるので、Aboutページの始まりに「なぜビジネスにその名前をつけたのか」を語るのは良いアイデアです。
BASE FOOD:漫画風ストーリー
BASE FOOD(ベースフード)のAboutページの一つである商品開発ストーリーでは、創業者のビジネスを始めるまでの経緯や思いを漫画のようなタッチで紹介しています。
漫画風に紹介することで顧客の関心を引くことができ、そのときの状況を想像しやすくなるため、より会社のミッションや理念が伝わりやすくなります。顧客が共感しやすい内容であるため、漫画のように伝えることでより感情移入してもらいやすくなり、企業が顧客の思いに寄り添った会社であることが伝わるでしょう。
まとめ
Aboutページは、顧客との信頼関係を築ける場所であるため、ビジネスを始めた経緯や苦労、商品や顧客への思いが伝わるように丁寧に作りましょう。また、Aboutページは他社にはない自社のこだわりを伝えるのに最適なページです。写真や動画、グラフィック、数字などを活用して、わかりやすく自社の強みを伝えましょう。
Aboutページをこれから作成する方や、どのように構成したら良いかわからない方は、紹介したAboutページの書き方や入れるべき要素を参考に作成してみるといいでしょう。
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よくある質問
Aboutページとは?
Aboutページとは、ブランド・会社の歴史や目的・目標、実績やチームメンバーなどの情報を提供するページです。
なぜAboutページは重要?
Aboutページは、会社・ブランドのビジョン、ミッション、ストーリーをアピールして顧客とのつながりを強め信頼感を獲得したり、他社と差別化したりできる場所だからです。
Aboutページには何を書けば良い?
創業ストーリーや、自社ビジネスの優位点、顧客が抱くであろう疑問への回答などを盛り込むと良いでしょう。
Aboutページの事例は?
Aboutページの事例には、レザーブランドのHushTugやデジタル窓を開発するATMOPH、文具を扱うカキモリなどがあります。どの企業も、ブランドのストーリーや中で働く人々を丁寧に紹介し、顧客の信頼感が得られるような効果的なAboutページを作っています。
文:Momo Hidaka