オンデマンド印刷といえば、イラストや絵を売る方法として思い浮かべる方も多いことでしょう。しかし実際には、イラストや絵、デザインの技術がなくても店舗やオンラインストアのラインナップを充実させるために大いに役立ちます。オンデマンド印刷を活用すればブランドロゴなどをあしらったトートバッグやタオル、日用品などのさまざまなオリジナルアイテムを追加でき、必要に応じて1つから注文ができるため商品在庫を抱えるリスクも抑えることができます。
この記事では、オンデマンド印刷におすすめの商品を集めて紹介しています。すでにオンラインビジネスに参入している方や、これからオリジナルグッズやカスタムデザインの商品化を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
オンデマンド印刷商品とは?
オンデマンド印刷商品とは、自社のロゴや独自のデザインなどをTシャツやトートバッグ、小物など任意の製品にプリントしたオーダーメイド商品のことです。ドロップシッピングの一種で、顧客からの注文が入るごとに、サプライヤーとなるオンデマンド印刷会社が商品にデザインを印刷し、直接顧客に発送するフルフィルメント方式が採用されている場合もあります。
たとえばプリントフルなどのプリント オン デマンド会社は、注文に応じて製品を生産するため、顧客からの注文が確定しない限り製造コストの支払いが発生しません。小売業者は在庫を購入して管理・保管する必要がなくなることから、コストを大幅に削減することができます。
おすすめのオンデマンド印刷商品18選
1. ユニセックスTシャツ
オンデマンド印刷商品の定番とも言えるユニセックスTシャツは、季節商品とは異なり夏は1枚で着用したり、冬は重ね着したりと汎用性が高いアイテムです。
オンデマンド印刷で取り扱っているTシャツは色や生地などの種類も多く、ニッチなニーズにも応えられます。特に黒いユニセックスTシャツは、コーディネートしやすいという理由で選ぶ人も多く、汚れやしわが目立ちにくいことから普段使いしやすいメリットもあります。また黒はシンプルなデザインだけではなく、個性的なデザインのプリントにも合うことから人気を集めています。Tシャツデザインの作成アプリを使えば、簡単にオリジナルデザイン作成ができます。
ユニセックスTシャツをオンライン販売する場合、商品ページの見やすい部分にサイズ表を配置しましょう。直接商品を触ったり試着したりできないオンラインサイトでは、わかりやすいサイズ表や着用感がわかる画像を載せるといった配慮をしましょう。
2. 名入れができるベビー用品
名入れができるベビー服は、出産祝いやベビーシャワー、1歳の誕生日の贈り物に最適です。赤ちゃんの名前を入れたロンパースやおくるみ、ベビー食器、おもちゃなどの商品が人気です。
ベビー用品を販売する際には、オーガニックコットンなどの肌への刺激が弱い素材を使っているかどうかを確認します。また、ECサイト上に問い合わせフォームを設置し、顧客のリクエストを受け付けられるようにしましょう。
3. マグカップ
アパレル関連商品と同じく、マグカップはオンデマンド印刷商品の定番商品です。年間を通して需要がありますが、特に年末と春に贈答品や新生活用として需要が増えます。
陶器の白いマグカップだけではなく、ガラス製のものやバンブーファイバーを使ったもの、保温効果のあるサーモマグなど豊富な種類の中から選べます。独創的なデザインをあしらったり、キャッチーなフレーズをプリントするのにも適しています。
また、デザインや素材にこだわる、数量を限定するといった方法をとることで、オンデマンド印刷マグカップをより高い価格で販売できるでしょう。
4. 全面プリントのパーカー
従来の前面・背面のみのオリジナルパーカーと異なり、全面プリントパーカーはデザインできる範囲も広く差別化しやすい商品です。
全面プリントのパーカーは、製造する際の手順が複雑になるため、価格が高くなる傾向にあります。価格設定を行う際には、標準品と高級品を並べるアンカリング戦略を用いることで、顧客により高価な商品を購入してもらうよう促すことが可能です。
5. アクリルスタンド
アクリルスタンドとは、透明なアクリルにオリジナルのイラストやデザインを印刷し、台座に刺して自立できるようにしたもので、希望の形状のオリジナルグッズを作れます。アクリルスタンドはアクスタとも呼ばれ、結婚式やイベントのウエルカムボードとして使えるだけではなく、好きなアーティストやキャラクターを応援する推し活の定番アイテムとしても人気です。
6. アクリルブロック
アクリルブロックは、アクリルスタンドよりも厚みのあるアクリルを使ったアイテムです。アクリルブロックのプリント方法は主に、イラストや写真が透けないよう白引きを行ったホワイトタイプと、透明感を楽しめる白引きなしのクリアタイプの2種類があります。
推し活の一環として好きなアーティストやキャラクターもののデザインをプリントできるほか、家族写真を使ってインテリアとして飾ることもできます。厚みがあり自立することから、ブックスタンドやペーパーウェイトとして販売することも可能です。
7. 刻印入りジュエリー
名前やイニシャル、日付、ロゴなどの刻印を入れられるジュエリーは、軽量で配送にも適しています。刻印は文字だけではなく画像をもとに入れることもでき、指輪からネックレス、ピアス、ブレスレット、チャームなどにオリジナルデザインを反映させられます。
刻印入りジュエリーは、インフルエンサーマーケティングでの宣伝が有効です。自社サイトやSNSアカウントの知名度が低い場合でも、インフルエンサーとコラボレーションすることによりブランド認知度を高めることができるでしょう。
8. ポスター
イラストや絵などのアート作品の販売というと、キャンバスに描いた現物をイメージするかもしれませんが、手ごろな価格で購入できるポスターにして販売することもできます。
ポスターを販売する際には、印刷のクオリティにこだわりましょう。マグカップやTシャツなどの商品の場合、印刷物の解像度が低くても容認されることがあるのに対し、ポスターは解像度の低いと販売につながりません。印刷する画像は最低でも300dpi以上の解像度が必要です。
9. Champion(チャンピオン)のパーカー
アメリカのスポーツウェアブランドChampionは近年、インフルエンサーとの戦略的な提携で成功を収めており、若者世代に人気のブランドとなっています。
ブランド品としての地位を確立しているChampion商品をもとにしたオンデマンド印刷商品であれば、知名度の低いブランドのオリジナルアイテムであっても顧客は安心して購入ができます。また、Championのパーカーにさらに特別感を演出したい場合には、刺繍加工がおすすめです。通常のプリント商品と比べると高級感が出るため、より高い価格設定で販売できます。
10. トートバッグ
プリント面が平面で、好みのデザインを反映しやすいトートバッグは、初めての方でも簡単に制作して販売できます。トートバッグ用に作成したオリジナルデザインだけではなく、他のオンデマンド印刷商品に使用したデザインをそのまま適用することも可能です。そのため他の商品のアップセルまたはクロスセル商品としてトートバッグを販売することもできます。
ロゴを入れたトートバッグは、ブランド認知度向上に役立つマーケティングアイテムとしても活躍します。そのためノベルティとして配布するほかにも、対象金額以上を購入した顧客へ割引価格で販売するのも、おすすめです。
11. 箸袋
飲食店やケータリングサービスで不可欠な、割り箸を入れる箸袋にロゴや文字、絵柄を入れることで、ブランディング効果を得られます。
余った割り箸を自宅に保管しておくという人も多いため、社名やロゴのほかにも、電話番号やURLを箸袋に印刷しておくと、「デリバリーを頼もう」と考えた時に思い出してもらいやすくなるでしょう。接触回数が増えるほど親近感・好感度が増すことを指すザイオンス効果も得られるため、マーケティングには効果的です。また、オリジナリティのあるおもしろ箸袋を作ることで好印象を残すこともできます。
12. ステッカー
オリジナルステッカーは、人気のあるオンデマンド印刷商品の一つです。おもしろステッカーやお洒落なものなど、目を引くデザインのステッカーを作って販売しましょう。ステッカーを販売しているビジネスでは主に、人気の映画や楽曲、話題となったミーム(面白画像や動画)を取り入れることで、デザインのバリエーションを増やしたり定期的に新デザインを追加したりしてリピーター獲得を目指しています。また、YouTubeでグッズ販売をするのにも最適なアイテムと言えるでしょう。
13. リュック
ECサイトで販売しやすいアイテムの一つに、リュックがあります。特に新学期などの節目のタイミングは需要が高まるため、オンデマンド印刷で作成したリュックの販売に適しています。Printify(プリンティファイ)のようなプリントオンデマンド会社を使えば、さまざまな種類のリュックをカスタマイズして販売できます。
14. クッション
クッションは、インテリア系ECサイトで販売しやすい商品です。一般的な長方形や正方形のクッションはイラストなどをプリントするのに最適な形状ですし、全面プリントであればパターン化した模様をデザインして販売することができます。
また、一部のオンデマンド印刷会社では、形状もカスタマイズできるダイカットクッションを取り扱っています。ペットや赤ちゃんの形をしたクッションを作ることもできるため、自由度が高く、カスタマイズにこだわりたい顧客のニーズに応えられるでしょう。
15. タオル
ホワイトレーベルのタオルも、オンライン上でデザインしカスタマイズして販売できる商品です。ビーチタオルやバスタオル、ハンドタオルといったさまざまなタイプのタオルを作成でき、その素材もポリエステルや綿100%などから選べます。
16. スマホケース
スマホケース販売は、オンデマンド印刷サービスを使えば簡単に始められるビジネスの一つです。スマホケースは製造コストが低くデザインの自由度も高いという特徴があり、ジュエリーやアパレルに比べると利益率を上げやすい商品です。
年間を通して需要があるアイテムのため、自宅でお金を稼ぐ方法としても人気があります。ただし、トレンド変化が早い商品でもあるため、GoogleトレンドやSNSをチェックし、流行のデザインを取り入れることも重要です。
17. うちわ
春の終わりから夏にかけて需要が増えるうちわは、販売価格は低いものの、大量購入することで利益率を高く設定できます。サイズや素材の種類が多く、海洋プラスチックゴミやお米、石灰石を利用したものなど、サステナブル意識の高い顧客向けの商品を扱うことで差別化を図れます。
また、うちわはイベントでノベルティとして配ったり、店頭に置いたりして販促アイテムとして活用することもできます。
18. ボトル・水筒
ボトルや水筒はこまめに水分補給ができ、ごみを削減するという理由からも持ち歩く人が増えており、需要のある商品です。
保温性のあるサーモボトルからストロー付きプラスチックボトルなど種類も豊富で、販売価格の相場は2,000~5,000円程度です。
オンデマンド印刷商品を扱うメリット
在庫を抱えずに販売できる
オンデマンド印刷商品を扱うことで、在庫を持たずに商品を販売できるようになります。これにより、在庫を保管する場所や管理にかかる時間を省くことができ、コストの削減にもなります。
在庫ゼロでビジネスを始められるため、経済的なリスクを負うことなく新商品を販売することが可能です。また、商品が売れなかった場合にはECサイトから削除すればいいだけで、費用が発生することもありません。
唯一無二の商品を販売できる
オンデマンド印刷のカスタマイズ機能を使えば、自分の名前を入れたりアレンジを加えたりすることができ、唯一無二の商品を手に入れられます。これにより購買体験が向上し、顧客維持効果も期待できるでしょう。ただし細かなカスタマイズは調整に購入希望者との個別のやりとりが必要になるため、コンタクトフォームをわかりやすい位置に配置する配慮も必要です。
オーダーメイドのようにカスタマイズできる商品は、既製品の購入では味わえない特別感を味わえることから、魅力に感じる消費者は少なくありません。
サステナブルなビジネス展開ができる
オンデマンド印刷のメリットの一つに、持続可能なビジネス展開ができる点が挙げられます。従来の小売業のビジネスモデルでは、売れ残ってしまった商品や材料の大量廃棄が発生することも少なくありませんでした。しかし、オンデマンド印刷を利用する場合には、注文が入った分だけを生産するため、廃棄をすることがありません。こうした企業のエコフレンドリーな姿勢は、SDGsなど環境意識の高い購入者の共感を得ることにもつながります。
オンデマンド印刷商品を扱うデメリット
サプライヤーに依存してしまう
オンデマンド印刷商品は、素材や印刷・発送の質がサプライヤーに依存するという特徴があります。品質の低い商品を提供してしまう、納品に時間がかかってしまうといった問題は顧客満足度に直結するため、ブランドの評判を落とすことにもつながりかねません。そのため、利用するプリントオンデマンド会社選びは慎重に行い、サービスや品質を定期的に確認することが重要です。
利益率が低くなる傾向にある
オンデマンド印刷商品は、商品1点当たりのコストが高くなる傾向にあるため、まとめ買いで商品を販売するビジネスモデルに比べて利益率が低い傾向にあります。安定した利益を確保するためには、高めの価格設定でも販売できるようなブランド構築が必要です。
デザインや素材の質にこだわるだけではなく、マーケティングにも力をいれることで、ブランドの魅力を多くの見込み顧客に知ってもらい、付加価値を高めて十分な利益の確保を目指しましょう。
競争が激化している
オンデマンド印刷商品は個人や企業も参入しやすくなったことから、競合との競争は避けられないものとなっています。
競合他社に勝つためには、市場のなかで目立つことが重要です。顧客の需要に応えられるデザイン制作に投資したり、ブランドイメージを強化ししたりして、知名度を上げましょう。
まとめ
近年のオンデマンド印刷商品は、Tシャツやトートバッグ、マグカップ、水筒などの普段使いできるアイテムから、名前やロゴを入れてカスタマイズができるものまで種類も豊富です。複数の商品に同じデザインをプリントして、セット品として販売することもできるでしょう。
オンデマンド印刷商品を扱う場合、在庫管理の必要がない、持続可能なビジネスができるといったメリットがある反面、利益率が低くなる傾向にある、競合が多く差別化が必要といったデメリットがあります。
オンデマンド印刷商品ビジネスに参入する場合には、マーケティングの工夫や付加価値の提供、ブランディングなどを通して差別化を行うことで安定した売上や利益確保を目指しましょう。
オンデマンド印刷に関するよくある質問
オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いは?
オンデマンド印刷は高速デジタル印刷機を使った印刷方法であるのに対し、オフセット印刷は版と呼ばれるプレートに印刷データを焼き付けてプリントする印刷方法のことです。オフセット印刷は、大量生産することでコストを下げられ、オンデマンド印刷では表現できない色を再現できるという特徴があります。これに対しオンデマンド印刷は1枚から印刷できるため在庫を抱えることがなく、短納期で商品化が可能です。
オンデマンド印刷のメリットとデメリットは?
メリット
- 在庫を抱えずに販売できる
- 唯一無二の商品を販売できる
- サステナブルなビジネス展開ができる
デメリット
- サプライヤーに依存してしまう
- 利益率が低くなる傾向にある
- 競争が激化している
オンデマンド印刷商品の定番は?
- Tシャツ
- トートバッグ
- ステッカー
- マグカップ
- スマホケース