ファッションが好きでアパレルネットショップを始めたい、と考えたことはありませんか?2022年には国内のアパレル消費市場規模は8兆591億円に達しており、新たにビジネスを始めるチャンスは十分にあります。ただ、アパレルブランドの立ち上げには大きなお金が必要だと思っている方も多いことでしょう。
この記事では、お金がなくてもアパレルネットショップを開業する方法をご紹介します。アパレルは0円起業も可能な事業のひとつです。EC事業としてスタートすれば、予算が限られていても、商品を見つけるところからオンラインでの販売促進まで、素早く効率的にアパレルの通販を始めることができます。
お金をかけずにアパレルネットショップを始める方法
1. ビジネスモデルを選ぶ
まずはどのような形で服やファッションアイテムといった商品を仕入れて販売していくのか、ビジネスモデルを決める必要があります。ここでは、アパレルネットショップ開業にあたり初期投資を抑えられるビジネスモデルとして、代表的な例をいくつかご紹介します。
- ドロップシッピング
- ハンドメイド商品の販売
- 製造を専門メーカーが担うプライベートブランド商品
- Tシャツなどのオンデマンド印刷
例えばドロップシッピングは、資金に限りのあるアパレルビジネスにとって有効なビジネスモデルです。ドロップシッピングのサプライヤーと提携することで、事前に商品を仕入れるための資金がなくても、大量の在庫をもっているのと同じようにビジネスを展開することができます。ドロップシッピングのサプライヤーから代金が請求されるのは、商品が売れたあととなります。
商品をピッキングして梱包し顧客に発送する、いわゆるEC物流もサプライヤー側が担当してくれるため、ドロップシッピングモデルを利用するビジネスオーナーはマーケティングに注力することができます。
2.販売する商品を選ぶ
ニッチ市場を選ぶことで、顧客に特定のジャンルに強い専門店として認知してもらうことができ、ファンやリピーターを獲得しやすくなります。アパレルのニッチ市場には、例えば以下のようなカテゴリーが考えられるでしょう。
- ヴィンテージ服
- ベビー服
- ペットウェア
- プラスサイズや小柄サイズの服
- ヴィーガンファッション
アパレルブランドのCOHINA(コヒナ)は、小柄な女性にターゲットを絞った商品展開を行うことで、ニッチ市場で成功しています。
特定ジャンルの専門店としてファンを獲得するためには、質の高い商品を提供する必要があります。そのためには、信頼できるサプライヤーの選定が重要です。BtoBの仕入れサイトであるアリババなどを活用し、レビューや評価を参考にしながら複数のサプライヤーを比較し、信頼できる仕入先を探していきましょう。
3.ビジネスプランを作成する
ビジネスプランを作成し、どのように集客し売り上げにつなげるかを詳細に計画します。インターネットで公開されている無料のビジネスプランのテンプレートなども活用することで、初めての起業でもしっかりとしたビジネスプランが作成できるでしょう。
ビジネスプランには、以下の内容を含める必要があります。
- 会社の形態
- 在庫の仕入れ方法
- 営業許可(古着を販売する場合は古物商取引許可が必須)の有無について
- クラウドファンディングなどの資金調達方法
- 競合他社の情報
- 在庫、マーケティング、広告の予算
ビジネスプランを作成する際には、ターゲットとする市場と、ターゲット顧客にどのようにアプローチするのかを詳細に考えていくことが重要です。具体的には、SNSなど使用するプラットフォーム、ターゲット顧客の興味を惹くコンテンツ、ネットショップへの誘導方法などを考慮する必要があります。インターネットで公開されているマーケティングアイディアを参考にするのも良いでしょう。
4.ブランドを構築する
ブランドを確立させることで伝えたいイメージやメッセージを明確にし、ネットショップを際立たせることができます。何を売っているのか、誰に売っているのか、そしてなぜそのアパレルネットショップで買うべきなのかが伝わるようなブランドにしましょう。
なるべく予算を抑えてブランド構築を実現するためにも、以下の要素を自分で作成しておく必要があります。
- 屋号
- キャッチコピーや企業理念
- オリジナリティ、ブランド独自の価値
- コアバリュー
- ロゴ、カラー、フォントなどのビジュアルアイデンティティ
潜在顧客とのすべての接点において、ブランディングに一貫性を持たせることはとても重要です。例えば、土屋鞄製造所は、ウェブサイトを落ち着いた色使いで統一させています。書体も特定のものを使用することで、スタイリッシュなブランドイメージを維持しています。
5.アパレルネットショップを開設する
Etsyのようなマーケットプレイスを利用するよりも、独自の販売サイトを作成することで顧客に与えるブランドイメージをさらに印象付けることができます。また、顧客に繰り返しアプローチするリターゲティングのためのデータも、独自サイトの方が集めやすくなります。
販売サイトを作成する際は以下の点に注意しましょう。
- 洋服の商品画像:イメージをつかみやすいよう、様々なサイズのモデルに商品を着てもらい商品を撮影することが重要です。その他にも、ハンガーに吊るした状態、折りたたんだ状態など、写真にバリエーションをもたせるようにしましょう。
- 商品説明:サイズや商品に使用されている素材、競合他社と違う点を商品説明に記載しましょう。
- ウェブサイト内での誘導:よく売れている商品のページにはそれだけ注目が集まりやすいため、レコメンド機能を追加したり、類似カテゴリーの商品や新商品へのリンクを貼ったりすることで、追加購入を促すことができます。
- ストアポリシー:配送ポリシーや返品ポリシーなどの情報を明確に提供することで、潜在顧客が初めてストアを利用する際の不安感を払しょくし、購入を後押しすることができます。
例えば、サステナブルなアパレルを提案するyinyangは、複数モデルの着用画像を商品ページに掲載しているだけでなく、撮影モデルの身長などを記載したページも用意しています。
また、SNSと連携したネットショップにすることで、集客や売り上げにつながりやすくなります。Shopifyのスタータープラン(月額750円)はSNSでの販売に適した機能を備えており、豊富なテーマから自分のブランドに合ったものを選ぶだけで、専門的な知識がなくてもプロのようなサイトを作成することができます。
6.配送戦略を決める
国内配送料と国際配送料、そして送料無料サービスを提供するかどうかを検討しましょう。ある調査によれば、買い物客の約78%が送料無料にするためなら少し余分に買い物をすると答えています。
例えばSOULfitwear(ソウルフィットウェア)のように、トップページに表示される画像(画像上部、赤い矢印の部分)などで送料無料の条件をわかりやすくアピールすると、顧客に安心感を与えて購入を促すことができます。
ドロップシッピングでアパレルネットショップを運営する場合は、ドロップシッピングのサプライヤーが定めたルールで配送が行われるため、配送戦略を決める必要はありません。
7.商品価格を決める
アパレルネットショップを開業し、スモールビジネスのオーナーになる上で最も難しいことのひとつは商品の価格設定です。利益を出すためには、原価をはじめ様々なコストを考慮した価格で商品を販売する必要があります。
例えば、以下のような基準で価格モデルを検討してみてください。
- 仕入れ原価を基準に一定の割合で利益を上乗せする
- 競合の価格を参考に決定する
- 顧客に「お得」と思わせる価格に設定する
- 利益を下げても知名度を高めることを重視する
- 期間限定セールなどのディスカウント価格にする
価格モデルを決める際には、Shopifyが無料で提供している利益率計算も活用してください。固定費(主にドメインとShopifyプラン)を商品価格に組み込み、アパレルネットショップの諸経費を支払った後でも利益が出るようにしましょう。
8.支払い方法を設定する
アパレルネットショップの各アイテムの価格を設定したら、顧客との金銭のやり取りを行うために決済代行サービスとの契約が必要になります。
最も利用されている支払い方法はデビットカードかクレジットカードです。Shopifyペイメントを使用すれば、各種国際ブランドの支払いをまとめて利用できます。以下のような支払い方法に対応し、選択肢を増やしておくことで売り上げがアップする可能性が高まります。
- Apple Pay(アップルペイ)や交通系ICカードなどのモバイルウォレット
- PayPay(ペイペイ)などのオンライン決済
- Shop Pay(ショップペイ)やKOMOJU(コモジュ)などの今すぐ購入や後払いオプション
- 銀行振込
9.アパレルネットショップの宣伝をする
アパレルネットショップを立ち上げたらそこで目標達成というわけではありません。自分のショップやブランドをより多くの人々に知ってもらうためには、SNSマーケティングなどのデジタルマーケティング戦略が重要です。マーケティング戦略には、以下のような手法があります。
- ファッションインフルエンサーに無料で商品を贈る
- アパレル系のメディアや雑誌へゲスト投稿を行う
- Instagram(インスタグラム)のリールやTikTok(ティックトック)ビデオを投稿する
- 割引コードを配布する
- メールマーケティングを実施する
- SNSでのプレゼントキャンペーンを行う
- Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)広告などの広告を利用する
- 検索エンジン最適化(SEO)を行い検索結果での露出を増やす
例えば、fifth(フィフス)はInstagramのリール動画で、同じ商品のサイズ感の違いを動画で伝えています。このInstagramリールの再生回数は約35万件を達成しています。(2024年9月現在)
10.アパレルネットショップを改善していく
オンラインショップで、実際に顧客が購入に至るコンバージョン率の平均はわずか3%と言われています。どのような流入元からアパレルネットショップに誘導しているかは、コンバージョン率に大きく影響します。ですが、収益をアップさせるために既存の訪問者へさらに働きかける方法もあります。
Shopifyの分析・レポート機能を使用してアパレルネットショップのコンバージョン率を調べ、以下のような方法でウェブサイトを改善していきましょう。
- 購入時の手間を減らすワンクリック決済の導入
- 決済サービスや返品ポリシーなどの、安心感を与える情報の表示
- ページデザインなどのA/Bテストの実施
- レビューなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した顧客による評価の提示
- デバイスごとに表示が最適化されるモバイルフレンドリーなデザイン
まとめ
アパレルネットショップは、低コストでも開業できるビジネスです。ドロップシッピングやオンデマンド印刷など、初期費用を必要としないビジネスモデルを選ぶことで資金がなくてもスタートさせることができます。アパレルネットショップを始める前に、しっかりとしたビジネスプランを立てるなどして、どのようにブランドを発展させていくかを検討することで、0円起業でも成功させることができます。
Shopifyを利用すれば開業資金が少なくてもアパレルネットショップが始められます。簡単にウェブサイトが作成できるだけでなく、支払い方法も豊富で、アパレルネットショップに必要な機能などをアプリで追加することも可能です。特に、スタータープランなら初期費用0円、月額750円で、SNSで商品を共有できるウェブサイトを作成することができます。アパレルネットショップに適したプラットフォームをお探しの際は、ぜひShopifyをご検討ください。
よくある質問
アパレルネットショップは儲かる?
世界で推定1兆7000億米ドルもの金額がファッションに費やされているため、アパレルネットショップは儲かる可能性が大きくあります。利益率とコストをしっかりと考慮した価格で商品を売ることが成功の鍵です。
自宅で小規模のアパレルネットショップを始めるには?
まずは、ドロップシッピングのような初期費用が不要なビジネスモデルを選ぶことから始めましょう。信頼できるサプライヤーを見つけ、その商品をオンラインストアに並べます。その後、オンラインでアパレルネットショップの宣伝を始めて多くの顧客を獲得しましょう。
アパレルネットショップを始めるにはいくらかかる?
Shopifyのスタータープランなら月額750円でアパレルネットショップを始められます。初月は無料で使用できるため、0円で起業することが可能です。ドロップシッピングなどで商品をサプライヤーから購入者に直接発送する場合、仕入れ費用もかからず、支払いが発生するのは売れた時のみです。
アパレルネットショップで販売できるものは?
- Tシャツ
- セーター
- ジュエリー
- ハンドバッグ
- ブランドものなどの高級品
アパレルネットショップはどこで在庫を仕入れる?
- 古着屋
- メーカー直販
- ドロップシッピング業者
- ファッションアイテムの卸売業者
- eBayのようなオンラインマーケットプレイス
文:Ryotetsu